絵本の世界楽しんで/屋富祖さん講師
子供と感動を共に/母親対象に子育て講演会
「絵本の世界から家庭教育を考える」と題した子育て支援講演会が12日、はなぞのこどもえん(新城久恵園長)で開かれた。講師の屋富祖紘子さん(元県立総合教育センター指導主事)が、絵本は子供たちの成長にかけがえのない大切な関わりを持っていると強調。参加した母親たちに「子供たちは絵本に登場するたくさんの主人公に出会って生き方を学ぶ。子供と一緒に絵本の世界を楽しみ、感動を共有してほしい」と呼び掛けた。
屋富祖さんは、絵本の読み聞かせが子供たちの豊かな感性と思いやりの心を育む上で大切なものになることなどをテーマにした講話で、県内各地から講演を依頼されるのが多いという。
宮古での講演会には、母親や教育関係者ら約30人が参加した。
屋富祖さんは「子供たちは絵本作家から言葉を学ぶわけではない。読んでくれた人の言葉が心に響く」と話し、「耳に聞こえてくる母親の声が、子供たちの言葉の原点になる」と語った。
絵本の読み聞かせは季節感も大事だとし、「もうすぐクリスマスがやってくる。こういった絵本はどうでしょう」と「サンタクロースっているんでしょうか?」(中村妙子訳)の一説を読み上げ、目に見えないものを信じることの素晴らしさを伝えた。
屋富祖さんは名作映画を繰り返し見ることで、それまで気付かなかったせりふに感動したり、「あの時は許せないと思ったことも、しばらく時間が経ってみると許してしまう成長した自分がいる」と自身が感じたことを話し、「絵本も同じ。日々成長する子供たちに繰り返し繰り返し読んで聞かせることが大切だ」と訴えた。
「ページをめくるたびに母親の愛情が感じられる」という「ぼくにげちゃうよ」(マーガレット・ワイズ・ブラウン作)、「子供たちを想像の世界に導く」という「まあちゃんのながいかみ」(たかどのほうこ作)を紹介。手作りの大型絵本で読み聞かせをして、絵本の感動を参加者たちと共有した。
参加者一人一人の目を見ながら、話しかけるような約2時間の講話は最後まで聴衆を引き付け。心に響く温かい話術に、思わず涙ぐむ人もいた。