最新情報の入手大事/防災気象講演会
海に理解や認識を/事故防止で気象・海象学ぶ
「海といつまでも楽しく付き合うために」と題した2015年度防災気象講演会(宮古島地方気象台など主催)が20日、関係機関や市民ら約100人が参加し、県宮古合同庁舎で行われた。講演会では、波予報に「うねりを伴う」とあれば、「海岸付近の波浪注意報」と理解し、特に海岸や浅瀬付近は要注意であること。海に入るときは最新の気象情報を積極的に入手し、正しく理解することで、海難事故を防止することなどを学んだ。
「うねり、波」の講話をした沖縄気象台地球環境・海洋課の橋口清沿岸防災調整官は「海に出掛けるときは必ず最新の気象情報を入手し、決して無理をしない」と強調した。また、「うねり」は台風や、発達した低気圧などに伴う高波が遠くに伝わる段階で、波高は低くなり、周期は長くなる。そのため一見、天気が良く穏やかに見えていても、うねりの持つエネルギーを保ったまま到達し、海岸で急に高波になる。
「うねり」は台風の速度より速く伝わるため、台風が離れた位置にあっても、「うねり」は台風よりも先に到達して、台風通過後もしばらく残るため、波浪警報や注意報が発表されていなくても、海岸での活動には注意を要すると説明した。
宮古島海上保安署の中村潔次長は「宮古島沿岸で発生した海難事故について」救助側からの視点で講演した。1987年に上野シギラビーチで行われたタフネスマラソン(通称・ミニトライアスロン)や昨年8月に発生した伊良部渡口の浜での海難死亡事故などを例示し、リーフカレントへの注意を呼び掛けた。
中村次長は「満ち潮のほかうねりを伴った高波によってリーフ内に入り込んだ海水は、リーフの切れ目などから、リーフ外にあふれ出る。これがリーフカレントとなって、強い潮の流れになる」と話した。また、リーフ内で海に入る時は、リーフの切れ目がどこにあるかを確認するよう呼び掛けた。
講演会に先立ち宮古島地方気象台の宮田洋台長は「2014年に発生した砂山ビーチ、15年に伊良部島渡口の浜で発生した海難死亡事故など、大きな水難事故が発生した。宮古島はさまざまな形で海と深く関わっている。海についての理解や認識を深めることで、海難事故未然防止の意識高揚を図る上で役立つと考えている」とあいさつした。