ICT活用介護で講演/市など主催でシンポ開催
期待事項や活用事例紹介
情報通信技術(ICT)を活用した介護サービスの産業化を通じたまちづくり事業シンポジウム「ICTで変わる介護現場」(主催・宮古島市、社会福祉法人沖縄県社会福祉事業団)が23日、市内ホテルで開かれた。同事業団の金城敏彦理事長がICT導入で期待されること、社会福祉法人こうほうえん(鳥取県)の永田壽子理事がICT活用事例などについて講演した。
市は国の2015年度地方創生関連補正予算事業「まち・ひと・しごと創生総合戦略」によるICTを活用した介護サービスの産業化を通じたまちづくり事業を15年12月から着手。県社会福祉事業団が事業を受託し、宮古厚生園で実証事業が実施される。
事業内容は、介護者が施設利用者と接するなかで気付いたことをスマートフォンを使ってサーバーに登録し、それらの情報を集積、分析することで、サービスの質の向上や介護職員のスキルアップ、新人職員の教育支援につなげ、高齢者の増加に伴う介護職の担い手不足の解消などを目指す。
講演で金城理事長は、ICTを活用した「気付き情報」による利用者の状態把握システムについて、職員の気付きの多さを数値で確認できるほか、職員が利用者の状態の良し悪しをどう判断しているか、利用者がどのようなケアを受けているかなどの情報を職員全員で共有できることなどを利点として挙げた。
永田理事は、施設で5年前からICTを使った「気付きシステム」を活用していること、気付きの情報を集積することでベテラン介護士と新人介護士の気付きの違いを可視化することができ、新人のスキル早期向上につながっていることなどを説明。気付きを広げるためには利用者に寄り添うことが必要との考えを示した上で、「情報を集めることで、その人に提供すべきサービスが分かり、介護の質が向上する」などと語った。
講演後には金城理事長らがパネリストを務めるパネルディスカッションも行われた。