口蹄疫 防疫体制を強化/県、市、JA
侵入想定し実働訓練/防具服着用、車両と農場消毒
2015年度宮古地域特定家畜伝染病防疫実働演習が4日、上野公民館とJAおきなわ宮古家畜市場で行われた。県、市、JAなど関係団体の職員が口蹄疫の侵入を想定して初動防疫を実践。防護服の着脱から車両・農場の消毒に至るまで本番さながらの訓練で防疫体制の強化を図った。
今回の演習は、口蹄疫や高病原性鳥インフルエンザなど特定家畜伝染病の発生が全世界に及んでいる現状を踏まえて実施した。宮古島で伝染病が発生したことを想定し、迅速かつ的確な対応でまん延防止と早期収束を図ることが狙い。
演習に先立ち、上野公民館で講習があり、宮古家畜保健衛生所が口蹄疫と県の防疫体制を説明した。防護服を着脱するデモンストレーションも行われた。
県宮古農林水産振興センターの安里和政所長は主催者あいさつで、「口蹄疫の発生は、地域経済や県民生活に甚大な被害を及ぼしてしまう」と述べ、水際での侵入防止と初動防疫の重要性を訴えた。チャーター機やクルーズ船の就航で人の往来が活発化していることに触れ、「侵入リスクの高まりが懸念される。緊張感を持って技術の習得に努めてほしい」と呼び掛けた。
下地敏彦市長(代読)も訓練の重要性を強調し「市の畜産業発展のために、この訓練は欠かせない。侵入した場合は、本市のみならず全国各地に影響を与える可能性があるため、防疫には万全を尽くさなければならない」と引き締めた。
訓練の概要と流れを把握した後、JA宮古家畜市場に移動した。同市場を口蹄疫発生農場に見立て、車両の消毒班、農場の清掃・消毒班に分かれて一連の初動防疫作業を行った。
防護服に身を包んだ参加者は、担当者の指示に従いながら訓練に当たり、地域経済に甚大な影響を及ぼす家畜伝染病の万が一の侵入に備えていた。
宮古地区では、▽チャーター機やクルーズ船が口蹄疫発生地域から着陸、または寄港する▽動物検疫上の指定外港で家畜防疫官が不在-という実態が侵入のリスクに挙げられている。市は動物検疫上の指定港化を国に要請している。
家畜の伝染性疾病は、ウイルス等によって家畜から家畜に感染する。感染した家畜は殺処分されるため畜産物の安定供給を脅かす。2010年に宮崎県で発生した口蹄疫では牛・豚約30万頭が殺処分され、関連産業を含めて2350億円もの経済損失が出た。