「障がいには理由がある」/あまいるの会主催
作家の山元加津子さん講演
元特別支援学校教諭で作家の山元加津子さんの講演会「みんなで一つの命を生きている」が21日、城辺公民館で行われた。障がい児との出会いや自身の体験などを通して、「実は弱者といわれる人たちこそが、私たちを守ってくれている。障がいや病気には理由がある」と訴え。「社会は障がいを持っている人を含んで、助け合っていかなければいけない」と呼び掛けた。
山元さんは、ブータンを訪問した際、子供たちが「周囲の人たちの幸せが私の幸せ」と答えたことにびっくりした。また、国内にエレベーターが2台しかないことに対し「障がい者やお年寄りたちは大変ですね」と問うと、「みんなで助けてやれば良い」と返事されたことなどを紹介。「自分の思っていることが自分勝手だったり、本当の優しさではなかったりして過ごしてきたんだということを実感した」と話した。
アフリカのある村でマラリアが大発生し、多くの村民が亡くなったが、絶滅は逃れた。
原因を科学的に究明したテレビ番組の中で、赤血球の違いにより弱者が強者を救ったことなどが紹介されたという。
山元さんはこのことを説明した上で「今、私たちが元気であすに向かうことができるのは、過去に障がいや病気を持った人が居てくれたおかげ」と語った。
「現代社会にも病気や障がいを持って、不便や不都合で苦しんでいる人がいる。その人たちは、未来の子供たちが元気にあすに向かっていくために今、障がいを持っている」と話した。
「常識と違うことはいっぱいある」と山元さん。「私たちは障がいを持っている人たちを『守らなければ、助けなければ』という常識を持っているかも知れない。しかし、真実はそうではないかも知れない。障がいを持っている方こそが、私たちを守ってくれるという考え方もある」と述べた。
同講演会は、障がい児を持つ家族が孤立しないための活動を続けている「あまいるの会」が主催。会場には家族連れらが訪れ、飾らない言葉で自分の思いや体験談を話す山元さんの講演に聴き入った。