サトウキビ 品質伸びず低水準
長雨の影響、じわり/操業期間の延長も懸念
長雨の影響で、2015-16年産サトウキビの品質が伸びない。例年は上昇する時期だが、宮古本島内の製糖2工場に搬入されるサトウキビの平均糖度は13度台にとどまっている。製糖操業期間の延長も懸念材料として浮上。後ろにずれるほど来期の春植えや株出し栽培に影響が出てくる。
サトウキビの品質は一定程度の寒気と空気の乾燥で上昇するが、今期はこの気象条件が整わない。サトウキビが必要以上の水分を吸収していることも品質上昇の妨げとなっている。
各製糖工場の累計平均糖度は▽沖糖宮古13・71度▽宮糖城辺13・38度▽宮糖伊良部14・14度▽宮糖多良間12・79度-(沖糖は24日現在で宮糖は23日現在)。
宮糖伊良部は14度台の品質を維持しているが、宮古本島内製糖2工場は基準糖度(13・1~14・3度)には達しているものの14度に届かない状況が続く。宮糖多良間は13度を下回る厳しい品質となっている。
これについて沖糖の砂川玄悠専務は「品質が上がらないのは長雨の影響。厳しい状況だ」と気象条件に恵まれない現状を指摘。上野地区さとうきび生産組合の川満長英組合長は「品質が上昇する時期だが上がってこない」と落胆した。
各工場における製糖計画の遅れも糖業関係者の頭痛の種。操業終了の時期が後ろにずれるほど春植えや株出しの栽培期間が短くなるためだ。宮古製糖の安村勇社長は「4月で終わらないと困る」と懸念を示し、上野さとうきび生産組合の川満さんは「このままでは春植えをしようと思っても手が付けられない。来期が本当に心配だ」と話した。
宮古本島内の製糖2工場は3月いっぱいで操業を終える予定だが、今後の気象条件次第では後ろにずれる可能性は否定できない。
昨夏に植えた新植夏植えの生育を心配する農家も多い。寒波の際に発生した強風による塩害と、日照不足が成長を遅らせているという指摘がある。これらも気象条件が影響している。
沖糖の砂川専務は「こんな気象条件は今までに経験がない」と首を振る。「あとは神頼みしかない」と天候の回復を期待した。