既存4校軸に再調整/伊良部小中一貫校計画
新たな用地で市教委/統合協が方向性確認
伊良部小中一貫校建設用地売却問題で、伊良部、佐良浜両地区の住民らで構成される統合協議会(仲間明典会長)は26日、伊良部公民館で会合を開いた。新たな学校用地として島内の既存4小中学校を軸に再調整する方向性を確認。市教育委員会が調査に入ることも了承した。用地選定に向けて住民合意が図られるかどうかが注目される。
この日の会合は、学校用地が本土企業に売却されたことを受けて開かれた。冒頭、市教育委員会の宮國博教育長は「極めて遺憾な状態にある。信義に則って作業を進めてきたが、このような状態になった。われわれに瑕疵があったとは思わない」と述べ、併せて売却された用地での再交渉がないことも明言した。
この後、委員からさまざまな意見があった。売却された用地と同じ島の真ん中にあるカントリーパークでの建設案が浮上。宮國教育長は「県の方から考えない方が良いという返答をいただいている。相当な時間を要するため、難しい状況になる」と回答した。
別の委員は、25日の市教育委員会定例会で、伊良部高校が候補地の一つとして挙がったことに憤慨。「存続のために懸命に取り組んでいるさなか、われわれが伊良部高校についてうんぬん言うべきじゃない。これは高校生にとっても失礼な話だ」と述べ、対象から外すよう強く求めた。反対する意見はなく、市教委も除外することに賛同した。
新たな用地選定について宮國教育長は「平成31(2019)年に開校するためには、今ある私たちの土地を利用する方が具体的に動けるのではないか」と提案。別の委員がこれに同調し、「31年の開校はぜひやらないといけないと思う。これ以上延ばすのは親として地域として許されない」と述べた。
その上で、伊良部と佐良浜の両小中学校を十分調査し、「防災や面積を考慮して最適な場所を取った方が良い」と主張した。
こういった意見に対して「仮にどちらかに建設されれば平良に引っ越す人も出てくる。これは実際の声としてある。その部分も考えてほしい」という慎重な声もあった。そのほか「一貫校のことをよく知らない住民が多い。今はどんな学校をつくるんだということをみんなにアピールしていく必要がある。そうしないと意識がばらばらになる」という懸念も示された。
住民への周知方法について市教委は、一貫校を紹介するパンフレットを早急に配布して理解の促進に努めることを約束した。
このほか、学校用地売却の経緯を振り返り「伊良部島の住民の思いを踏みにじる行為」と指摘し、市に毅然とした対応を求める声もあった。宮國教育長は損害賠償請求も選択肢の一つになることを示唆した。
最終的に、学校用地として既存4小中学校での建設を想定して調査を実施する方向性を確認した。宮國教育長は「四つの学校の状況を調査して、それをたたき台として皆さんに提示したい」と述べた。