調理員の業務量3倍/平良調理場
5共同調理場で突出/過重な労働実態明らかに
学校給食の平良共同調理場で働く調理員の過重な労働の実態が7日、明らかになった。平良以外の4調理場の調理員1人当たりの平均調理食数65食に対して平良は187食と突出。業務量が4調理場の2・9倍となっている。市教育委員会が民間への委託を進める背景には、こういった厳しい労働の実態がある。
市内5共同調理場の労働の実態は、7日午前に開かれた市議会文教社会委員会の中で示された。
平良共同調理場がまとめた5調理場の調理員配置状況によると、平良調理場の調理員は22人。いずれも臨時職員で対応している。調理食数は4105食で、1人当たりに換算すると187食を作っている。
これに対し、別の4調理場の1人当たりの調理食数は▽城辺64食▽上野70食▽下地68食▽伊良部58食-といずれも100食以下で平良の調理食数がいかに突出しているかが分かる。
平良調理場の宮国雅人場長は「4調理場と比べて仕事量が増大している」と厳しい労働実態があることを認めた。恒常的な人員不足を挙げて「募集しても来てくれない」と嘆いた。
賃金に見合わない労働が要因となり、「調理員の入れ替えが激しく、調理員同士の意見が合わないことも出てきた」と説明した。
調理員22人全員が同じ雇用形態であることが指揮系統を乱していると指摘。その上で「これまで年休は1日2人で3人は取らないというのが暗黙の了解だったがこれも崩れた。きょうも4人が休んでいる」などと明かし、職場内環境が悪化している現状に触れた。
さらに宮国場長は、調理員の日当が6000円、月額では手取りで約10万円と低い賃金であることも人員の確保を困難にしている要因の一つに挙げた。
こういった調理員の労働実態に委員らは驚き、低賃金が問題の根本にあるという認識で一致。委員の一人は「仕事量は4調理場の3倍近いのに賃金が同じでは誰もやらない」と憤った。
民間委託の必要性に言及し「年間4000万円もかける民間委託の前にやることがあるのではないか」と指摘する委員もいた。
市教育委員会の仲宗根均教育部長は、市が直営する場合、県内他市の事例を挙げて本務職員が25人程度必要になるとして人件費がかさむ可能性に言及。「(民間委託と直営と)どっちを取るのかという話になってくると思う」と述べた。
市教委によると、民間委託した場合、2016年度当初予算では従来の予算と比べて3000万円ほど増加すると見込む。この予算の確保で賃金など調理員の労働条件が向上し、より安全、安心な学校給食の提供につながるとしている。