市長、請求の棄却求める/不法投棄ごみ残存問題
住民訴訟第1回口頭弁論
【那覇支社】宮古島市の不法投棄ごみ残存問題で、岸本邦弘さん(54)ら市民6人が下地敏彦市長ら市幹部4人に委託事業費約2250万円の宮古島市への返還を求めた住民訴訟の第1回口頭弁論が8日、那覇地裁(森健一裁判長)で開かれた。下地市長らは請求の棄却を求める答弁書を提出し、争う姿勢を示した。
意見陳述で原告代理人の喜多自然弁護士は、ごみ撤去事業の完成検査後も大量のごみが現場に残っていたにもかかわらず、現場を確認せずに業務委託料を支払っていたことや、市職員によるごみ処理量の改ざんなどの違法性を指摘した上で、「今回の訴訟で、どうしてこういうことが起こってしまったかを解明していきたい」と述べた。
原告代表の岸本さんは「不正を疑われる入札や不適切な書類の作成、契約の履行を確認せず、撤去すべきごみを残存させた委託業者に公金を支出した。これは市民の不利益以外のなにものでもない。問題の全容解明を求め、全額返還請求の妥当性を主張したい」と訴えた。
訴状によると、「契約内容を履行していないにもかかわらず、市長らが何ら確認作業や是正措置を取らないまま支出した行為は、契約履行の確保のための監督・検査義務を定めた地方自治法に違反する」などとしている。
被告の下地市長らの答弁書では「入札手続きに違法性はない」、「業者との間の契約書は適法、有効に締結されている」、「受注業者は契約書に基づいて業務を遂行し、履行し完成させた上で、宮古島市に引き渡している」、「業者の履行遂行状況を確認しながら月次に委託手数料を支払っていた」などと原告の訴えに反論している。残存ごみについては「業務遂行の完了を確認した後に確認されたもので、それは完了後の風雨により、さらにその下に残っていたごみが表出したもの」と主張している。
また、市と委託業者との間で残存ごみの再撤去について合意を取り付けていると主張し、このような経緯があることから市には何ら損害は発生していないとして、請求の棄却を求めている。
第2回の口頭弁論は5月24日午後2時から行われる予定。