生産農家と競合/市議会一般質問
市、島外出荷を整備へ/ポットファーム収穫のトマト
嵩原弘市議は18日の市議会3月定例会一般質問で、市が整備したポットファーム栽培実証施設(上野野原)で収穫されたトマトが、生産農家と競合し経営を圧迫しているとして、「市は本土市場の開拓や大手企業との契約栽培など販路拡大をすべきだ」と述べ、生産農家と競合しないよう是正を求めた。
嵩原氏は、同施設での来期のトマト収穫量は12・7㌧を見込んでいるとの市の説明を示し「このトマトが宮古島の市場で販売されるとなると、零細なトマト農家にとっては脅威となる」と述べ市の見解をただした。
市によると、ポットファームで栽培したトマトは、昨年9月から出荷体制に入り、主にJAのあたらす市場や島の駅みやこで販売していた。
その後、トマト農家の出荷が増え、競合するようになった。
答弁した砂川一弘農林水産部長は「できるだけ農家と競合しないように、現在は農家が出荷していない市内ホテルに出荷している」と述べ、以前のような農家との競合は避けられていると説明。その上で「今後は、県の卸売り市場でのトマトの取扱量や単価状況、輸送コストなどを吟味しながら、島外に出荷していく新たな出荷体制を整備していきたい」と述べた。
同件については、本紙に生産農家の一人から「税金で生産されるトマト」とのタイトルで投稿があった。
その内容は「あたらす市場ではトマトがたくさん出荷され、農家の貴重な収入源となっている。私たち農家の切実な願いは、トマトが売れ残るのではなく完売だが、現在は過当競争になる時期がある」などとつづり、農家同士で公平な競争ができるよう求めた。
嵩原氏は質問で、投稿内容の一部を読み上げ「市が収穫したトマトの販売手法がトマト生産農家と競合している」と農家の悲痛な声を紹介し、行政として農家と競合するのではなく、新たな販路拡大を目指すべきだと強調した。
ポットファーム 太陽光など再生可能エネルギーを活用した新技術実証栽培施設。コンピューター管理体制による栽培。施設の広さは1143平方㍍総事業費約1億3500万円。台風などの自然災害にも強い施設であるため、天候に左右されない園芸作物の栽培が期待されている。
市ではこの栽培方法が普及していけば、農薬を過度に使わない農業の実践につながり、地下水を守ることにもなるとして