方言や訛を大切に
伊奈かっぺい、下地イサムさん競演
異色マルチタレントとして知られる伊奈かっぺいさんの講演会と、宮古島市出身のシンガーソングライター、下地イサムさんのコンサート(主催・市、市教育委員会、市文化協会)が26日夜、マティダ市民劇場で開かれた。伊奈かっぺいさんは「人と同じことをやってはいけない」と個性やオリジナリティーを主張し、方言や訛(なまり)の素晴らしさを訴え。下地イサムさんは、歌を交えながら「パリ(畑)」「ヴゥーズ(サトウキビ)」などの宮古方言を披露し「先人たちは素晴らしい言葉を残してくれた」と話した。
「遊び道具としてのコトバ」と題した講演で伊奈かっぺいさんは、漢字をさまざまに崩して、まったく違う読み方にするなど「学校では教えない(教えられない)」漢字の数々を紹介。「晶」を「第3日曜日」と言ったり、文を三つ書いて「ブンブンブンハチが飛ぶ」などと遊び心に溢れた世界で会場を笑いの渦に巻き込んだ。
2014年に東京の八丈島で開かれた方言に関するシンポジウムを報告。日本の消滅危機言語とされる8言語地域を挙げ「宮古の方言は危機言語となっている。今の内に、方言が話せる人は話した方が良い」と強調。「家族や友人とユーモアを交えながら、楽しく話していけば自然と残っていく」と述べ、日常生活の中で使っていこうと呼び掛けた。
青森県生まれ。同じ県とは思えないほど、明らかに訛りや方言が違うことを指摘し、実際に話し比べてみたり、東北6県を自身の体を使って紹介したりして観衆の目をくぎ付けに。擬音や派手なパフォーマンスは即興漫才のようで、約50分間の講演は最後まで観衆を引き付けていた。
引き続き、下地イサムさんがコンサート。オープニングで「我達が生まり島(ばんたがんまりずま)」を披露し出身地・久松の風景などをしみじみと歌い上げた。
下地さんの名を広めた「サバぬにゃーん(ゴム草履がない)」は「自分の人生が変わった」と言い、軽妙なギターと歯切れの良いボーカルで、観衆の笑いと手拍子を誘った。
歌の合間のトークでは宮古方言の魅力を紹介。独特のイントネーションや言い回しは「まるでフランス語のようだ」と話した。
講演会とコンサートは、第10回市民総合文化祭・一般の部「芸術劇場」、市制施行10周年記念事業として開催した。