千代田配備に反対/陸自計画
野原部落会 全会一致で決議
宮古島への陸上自衛隊配備計画で、上野野原部落会はこのほど、防衛省が候補地に挙げる千代田カントリークラブ(上野野原)への配備に反対する決議案を全会一致で可決した。近く下地敏彦市長に反対決議文を提出する。陸自配備候補地周辺地域における反対決議は初めて。
空自宮古島分屯基地と隣り合わせの日常生活を送る野原集落は、61世帯で構成されている。部落会の役員によると、各世帯代表1人の計61人が総会提出議案を審議する権利を持つ。
27日に開かれた総会への本人出席は38人、委任状は17人だった。部落会の規定に定めた総会成立要件を満たす中で陸自配備に反対する議案審議を行った。
議案は「千代田ゴルフ場地区内においての陸上自衛隊配備計画反対決議」。複数の役員の話によると同案は全会一致で可決された。
取材に応じた野原部落会の塩川克也会長は「われわれの地域は、今も野原基地と隣接しておりヘリの騒音に対する苦情もある。みんなよく耐えている」と現状を指摘した。その上で「千代田ゴルフ場は隊の官舎とされているがどうなるか分からない。千代田に配備されれば野原は自衛隊に挟まれた集落になる」と話し、懸念を払拭(ふっしょく)できない住民が多くいることを反対理由に挙げた。
一方で複雑な心境も明かした。宮古島分屯基地の隊員が地域の運動会や清掃作業に積極的に参加していることなどを紹介し、「自衛隊の協力は十分伝わってきている。互いの気持ち、心は分かる」と吐露した。
ただ、「だからといって容認というわけにはいかないと思う。それはまったく違う話だから」と述べ、表情を引き締めた。
部落会は、近く下地敏彦市長に対し、千代田カントリークラブへの配備反対を記した決議文を提出する方向で準備を進めている。
防衛省が計画している陸自配備は、隊員規模が700~800人。地対空、地対艦ミサイル部隊の配備も予定している。配備候補地は千代田カントリークラブと旧大福牧場の2カ所。