事業化向け始動/天然ガス
新年度に井戸能力調査/市、実施計画書も策定へ
宮古島市の天然ガス利活用事業が動き始める。市は2016年度一般会計予算に3500万円の調査費を計上、城辺保良の試掘井「城辺ぱり鉱山宮古R-1号井」から出るガスの1日限界量を調べる能力調査に着手する。この結果を踏まえてガス、温泉水の活用を具体的に示す実施計画の策定に入る。31日には利活用推進検討委員会(委員長・長濱政治副市長)が計画書を提出し、戦略性を持った計画の策定を促した。
市によると、16年度は井戸の能力調査と環境影響調査を実施する。能力調査では井戸から吹き出すガスの1日限界量を把握し、ガスや温泉水を活用する事業の立案に生かしていく。
利活用の方法を探ってきた検討委員会は31日、下地敏彦市長に利活用推進計画書を提出した。計画書の中で「まず取り組むべきことは次年度において『宮古R-1』の利活用実施計画を策定することだ」と指摘。その上で「利活用に関しては海宝館と保良泉(ガー)ビーチでの活用が主体となるため、両施設を連携させた拠点整備事業として位置付けた検討が望ましい」とした。
推進計画の実施に向けては「単なる温泉利用施設を整備するのではなく、戦略性を持った方針が極めて重要であり、市の観光戦略としての計画の策定が求められる」としている。
長濱委員長ら検討委のメンバーは「天然ガスの可能性は大きい」と話し、16年度の調査に期待を込めた。
これに下地市長は「天然ガスを利活用できる施設を造ろう」と述べ、天然ガス利活用事業の計画策定に向けて意欲を示した。
天然ガス調査は2011年に動き出した。県が「資源緊急開発調査事業」として島尻層群が分布する本島中南部と宮古島市を対象に「反射法地震探査」を実施。この結果を基に、12年度から14年度にかけて試掘調査が行われ、天然ガスと温泉水の存在が裏付けられた。