小規模校解消、改めて強調/市教委
福嶺中休校で地域説明会
市教育委員会は3月28日、福嶺中体育館で同校の休校に係る地域説明会を開催した。市教委は、同校が休校になるまでの経緯を説明。学校教育は集団で行うことを前提としていることを強調し、保護者が集団転校を選び、休校となったのは過小規模校や複式学級の解消につながり「集団の中で切磋琢磨(せっさたくま)し、社会性を身に付けることができる」などと理解を求めた。出席者からは「休校になる前に何らかの対応ができなかったのか」「再開校するにはどのような方法があるのか」などの意見があったが、双方の考えは最後まで一致しなかった。出席した女性は「教育委員会の方向性と地域住民や保護者が持っている方向性がまったく違うということを痛感した」と感想を話した。
福嶺中に今春入学予定の同小6年生、同中在校生の1、2年の全保護者(5家族、児童生徒7人)が昨年、市教委に通学(転校)を希望する「嘆願書」を提出。市教委がこれを許可したことで、新入学生と在校生がゼロとなり、4月1日からの休校が決定している。
説明会で市教委は学校規模適性化について「教科などの知識を身に付けるだけでなく、集団の中で仲間たちのさまざまな考えに触れたり、互いに認めたり、切磋琢磨しながら、問題解決の力を育てることや社会性などを身に付けることが大切」と述べ、小規模校ではこういったことが育まれないとの見解を示した。
城辺地区の児童生徒の指定校変更、いわゆる転校は3月18日現在で小学校8人、中学校16人。市教委では、生活環境の変化などから、今後も指定校変更は続くとみて「学校規模適性化の取り組みは福嶺学区だけではなく、城辺地区全体で考える課題である」と協力を求めた。
宮國博教育長は、駅伝大会では福嶺中女子はチーム編成ができず、最後までたすきリレーができなかったことを挙げ「今後とも才能ある子供たちが評価されない状況が生まれてくる」と指摘。「福嶺には優秀な子供はいるが、全体的にまとまればもっと優秀になる。もっともっと伸びる、もっともっと評価される子供たちが、今(小規模校)のような状況の中に置かれているとつぶれてしまうこともある」と述べた。
また、他府県から良い教育環境を求めて移住した人たちが「幼稚園や、中学校がなくなっていくという状況に戸惑いがある」との声に対しては「なぜ、ヤマト(本土)から来るような環境なのに、地元の人たちは残らずどこに行ったのか心配だ」とも話した。
福嶺中の再開校について市教委は、2017~21年度までに、過小規模校と複式学級の解消が図られた場合に実施する方針を示した。
学校規模適性化基本方針では、城辺地区4中学校の統合は21年度となっていることや、休校解消には1、2年生計9人の転入が必要で、現実的には厳しい状況だ。
出席者からは「子供が遠くに転校した場合、子供の安全や親の精神的、経済的問題を行政が補てんするなどの研究をしてもらいたい」などと行政の支援策を要望。学校施設を一般に開放して、「集会などに活用できないか」などの意見があった。
説明会への参加者は20人と少なく、出席者からは「午後6時からの開催は、仕事を持つ人、特に平良に通勤している親にとっては参加できない時間帯だ」と不満をぶつけた。
同校卒業生の男性は説明会全体の感想として「地域の人と比べて、行政は学校を思う気持ちがまったく違うということを実感した。地域の人たちの思いをくみ取らず、たんたんとやっているという印象だ」と語った。