社会変化にビジネスチャンス
須田氏招き経済講演会/商工会議所40周年記念で開催
宮古島商工会議所(下地義治会頭)設立40周年を記念した、経済ジャーナリストの須田慎一郎氏を講師に招いての経済講演会「日本経済の現状と今後の中小企業経営」が25日、市内ホテルで開かれた。須田氏は現政権が提唱する「1億総活躍社会」とは退職後の中高年や専業主婦らも労働力として活用する「1億総動員社会」との認識を示し、そのような社会に移行し働き方や暮らしが変わることに伴い生まれる新しい市
場にビジネスチャンスがあるとの考えを語った。
須田氏は最近よく聞かれる質問として、現政権による経済政策「アベノミクス」による景気回復の時期を挙げ、それに対する結論は「今回、ここに集まっている大部分の人が存命の間にはやってこない」との持論を披露。「アベノミクスの第1幕は失敗に終わった」との認識を示し、その主な要因として、大幅な金融緩和を行ったことで輸出関連大企業の業績は回復したものの、利益を大企業が抱え、恩恵が中小零細企業に及ばず内需拡大につながらなかったためと分析する。
現政権が現在、掲げている「アベノミクス第2幕・新3本の矢」の①2020年までをめどにGDPを現在の約490兆円から600兆円に②出生率を現在の1・4人から1・8人に③介護離職者ゼロ-について、目標は掲げられているものの、それを実現させる方法、手段が全く示されていないと指摘する。
来年度から実施が予定されている消費税の再増税については「(5月に開催される)伊勢志摩サミット終了後に延期を発表すると思う」との見通しを語る。その上で、増税が見送られれば社会保障制度の維持に大きなダメージを与えることとなり、介護現場にはこれまで以上のひずみが生じることに懸念を示した。
「1億総活躍社会」については、現在は仕事をしていない中高年や専業主婦、障害者らに働いてもらい、家族単位での所得を増やすことで景気回復につなげようとする「1億総動員社会」と表する須田氏。そうした社会に移行すると働き方やライフスタイルなど社会のあり方が変わり、新しい需要や市場が生まれることが予想され、そういった新しい市場にいち早く目を向け、取り込むことができた企業が成長できるとの考えを提示。「これからは二極化が進むと思う。今回の講演を聞いて、勝ち組に入れるよう意識改革をしてほしい」と呼び掛けた。来場者たちは須田氏の講演を熱心に聞き入っていた。