「親の仕送り」に頼る/16年度市の財政
独自調達金は15%/予算を年間生活費で算出
宮古島市は2016年度当初予算(一般会計)を、年間に必要な家計の生活費(500万円)に置き換えて算出した。それによると、親(国など)に頼らずに独自に調達できる財源、いわゆる給料(市税)は62万円、臨時収入(負担金・使用料など)は17万円となり、全体ではわずか15・8%に過ぎないことが分かった。残りの84・2%は親からの仕送り(地方交付税、各種交付金など)や借入、預貯金を取り崩して補っている。改めて自立していくにはほど遠い状況が浮き彫りになった。
市民に予算を身近に感じて関心を持ってもらおうと、数年前から家計簿に置き換えて市の広報誌で紹介している。
市の16年度の一般会計当初予算は、歳入歳出総額381億200万円で過去最大規模となった。
前年度に比べ37億円(11・0%)増の大幅な伸びで、要因は未来創造センター(図書館と公民館の複合施設、建設費21億9000万円)、スポーツ観光交流拠点施設(11億円)、リサイクルセンター建設(4億円)のいわゆる「ハコモノ」ほか、農山漁村活性化対策整備事業(基盤整備、15億円)を計上したこと。
このような大型事業の導入で、市債(ローン借入)が前年度より約18億円増の約44億円となった。
市の予算を家計簿にした場合、収入で最も多いのが親からの仕送り、次に親から特別にもらう仕送り(小遣い)で、二つ合わせた金額は358万円。全収入(500万円)の71・6%を占めている。
一方、支出を見ると、人件費に当たる「食費」が76万円、委託料や使用料、物品調達などの物件費に当たる「光熱水費、通信費」は70万円となっている。
食費や光熱水費などは年々切りつめて少なくしているが、自宅(公共施設など)の増改築や修繕費が139万円と多額で家計を圧迫している。
資産を見ると、預貯金の総額は約200万円あるが、ローンの残高が約600万円あり将来に不安を抱えている。
歳入の面では、合併後10年間は特例措置として、多くの普通交付税が入ってきていたが、15年度でこの措置が終了。16年度~20年度までの5年間で段階的に削減されていく。
財布のひもを握る市財政課では、「一般財源の根幹である普通交付税の減、市債の増という状態になっているが、財政健全化を考慮しながら、事業の執行に努めていく」としている。