昨年7月の児童虐待死 一時保護遅れ最悪/県社会福祉審議会
毅然とした行使求める/再発防止で報告書提出
【那覇支社】宮古島市で昨年7月に3歳(当時)の女児が虐待を受けて死亡した事件について、県社会福祉審議会児童福祉専門分科会審査部会の井村弘子部会長(沖縄国際大学教授)は19日、金城弘昌子ども生活福祉部長に検証結果の報告書を提出した。宮古での虐待対応体制については、「離島の地理的ハンディから緊急性の高い事案に迅速に対応できずに、最悪な結果を招いた」と指摘した。
報告書では関係機関の対応の検証や再発防止に向けた提言をまとめ、関係機関の情報共有や連携、中央児童相談所宮古分室の設置などを求めた。
井村部会長は「事前に児童相談所が関与していたのに、子どもの命を守ることができず極めて残念な結果になった。このことを重く受け止め、今後このような事件が二度と繰り返されないよう、児童虐待の未然防止や再発防止に生かされることを願う」と話した。
報告書では問題点として、①一時保護の決定がなされながら実行されず、子どもを救出できなかった②継父の子どもへの虐待と母・妻へのDVという二つの問題が混在して、一時保護を遅らせる結果を招いた③DV被害心理により二転三転する母・妻の言動に振り回された-などを挙げた。
その上で、「保護者の同意がなくても職権による一時保護を決定した以上、判断を覆すことなく毅然とした態度で一時保護する必要があった」と指摘した。
再発防止に向けた提言では▽支援を担う職員と一時保護などの介入を実行する職員の明確な分離▽職員の増員と若手に指導助言する中堅・ベテラン職員の確保▽警察との積極的な人事交流など関係機関との連携強化-などを求めた。
金城部長は「子どもを守れなかったことに大変申し訳なく思う。報告書に盛り込まれた提言を真摯に受け止め、指摘された問題点や提言を十分検討の上、対応策の実施に向けて取り組みたい」との方針を示した。
宮古分室の設置については、「今年4月から宮古圏域に専門の支援員を配置して迅速な対応を図っている。さらに今回の提言を踏まえ、具体的な宮古分室の設置にしっかり取り組んでいきたい」と話した。