市、学術部会判断に修正要求/陸自駐屯計画
報告当日、事務方に指示/これまで市民に虚偽説明
宮古島市への陸上自衛隊駐屯地建設事業計画について、審議した市地下水審議会学術部会の報告書案に対して下地敏彦市長と長濱政治副市長の連名で同部会の中西康博部会長に修正依頼していたことが24日までに分かった。これまで、この報告書案が存在しないと明言していた市長、副市長だが実際には存在し、さらにそれに修正を加えようとしていた。修正依頼について市長、副市長とも認めている。
同部会は3月3日に2回目の会合を開き、結論に至った。その報告書案を中西部会長が同日中に市上下水道部と調整した上で完成させた。
この報告書案は、翌4日早朝に同課の職員が市長と副市長に報告。その日の午後4時前には報告書案の修正を求める内容のメールが中西部会長に送信された。
その内容を受けて、中西部会長はすぐに電話で「応じられない」と修正依頼を拒否している。
今回の修正依頼について中西部会長は「地下水を守るために努力している学術部会をないがしろにしている」と怒りをあらわにした。
同部会の報告では、平良西原の旧大福牧場周辺に陸上自衛隊の駐屯地を建設する事業計画について明確に「認められない」と結論づけられているが、当局側の修正案は文言を削除したりしながら断定表現を曖昧にている。
修正されているのは、一つの項目全文削除1カ所と、一部文言修正5カ所。さらに5カ所で文言を追加している。
審議結果の要約では、「認めることができない」と断定していることについて市案は「懸念がある」と曖昧な表現にしている。
さらに、水道水源地下水の水質を「恒久的に汚染するおそれがある」を削除し「守るための方策を厳格に立てるべきである」と変更。
そのほかにも、施設の設置は「予防原則的に不適切である」との表現は「施設内の雨水および汚水を確実に隆起外に排出する等の措置が必要である」と修正した。
この学術部会の結論について、下地市長は23日のインタビューで「まだ報告書はできてない」「見ていない」とその存在を否定していた。
また、長濱政治副市長も今月16日の防衛局との会見の席で学術部会の結論については「知らない」と答弁し、23日の会見でも同様の見解を示している。
しかし、実際は島民の命の水を守るために下した同部会の報告を受けて、裏でその内容を修正しようとしていた。
市上下水道部が中西部会長に送ったメールには「市長と副市長に報告書を持参して報告した結果、修正することは可能でしょうかとの回答をいただきました。市長、副市長からの修正案を送信させていただきますので確認方よろしくお願いします」と記されている。