「権限越え」に疑問/報告修正依頼問題
市側の修正案 学術的見地にも削除依頼
地下水審議会の学術部会でまとまった報告書案について、市当局が文言の修正追加の検討を同部会の部会長に求めていた問題で、下地敏彦市長が「部会の権限を越えている」との主張に、市民からは「何が権限を越えているのか意味が分からない」などの声が聞かれている。市側の修正案で削除が求められている内容は、学術的な見地から判断された結論にも及んでいる。
下地市長は24日の会見で、報告書の内容が「学術部会の権限を越えている」とし、それを理由に修正検討依頼になったことを説明している。
「権限を越えている」と指摘している部分だと思われるのは、「審議結果の要約」の3番目の項目で「有事の際、本施設が攻撃対象となった場合、その攻撃による水道水源地下水の水質汚染、地下水帯水層の破壊等が発生しうるため」の部分で、市側の修正案では、その部分は全文削除となっている。一方で、学術部会の委員が学術的な見地から下した結論についても市長、副市長案からは修正が求められている。
具体的には、審査の結論として「建設・運用は以下の理由から認めることができないとの委員の意見の一致を見た」との文言の「認めることができない」の部分について削除を求め「以下の懸念があることについて」と表現を変えている。
さらに、油脂や薬物等の漏出について記された項目の「水質を恒久的に汚染するおそれがあるため」を削除し「水質を守るための方策を厳格に立てるべき」との文言に書き換えている。
そのほかにも、水質や水量に対するリスク管理の観点から「本施設の設置は、予防原則的に不適切である」とする表現も削除され、「本施設には、施設内の雨水および汚水を確実に流域外に排出する等の措置が必要である」との内容に修正されている。
まとめた文章だけでなく、委員からの意見として記された内容についても、当局側の修正案では削除と文言追加を求めている。
削除が求められているのは「その保全に抵触するおそれがある」と「予防原則的に妥当ではない」について、修正が求められている。
島の「命の水」を守るために学識経験者たちが下した結論について、下地敏彦市長は「権限を越えている」と主張するが、修正を求めている内容は十分に権限を有する部分にも及んでいる。