不法投棄ごみ残存問題 再撤去作業が中断/城辺保良
落石、地滑りで危険な状況/再開のめど立たず
不法投棄ごみ残存問題で、先月14日にスタートした城辺保良地区の崖下2カ所の再撤去作業が現在、中断している。落石や地滑りなどにより、作業現場の安全が確保できない状況だからだ。市生活環境部の下地信男部長は「労働基準監督署も現状では作業を認められないとしており、作業を進めれば指導を受けることになる」と説明した。この再撤去は、市議会調査特別委員会の反対を押し切り、市と業者が協議書を締結して強行したが、完全撤去は困難な状況となっている。
今回の再撤去作業は、市と2014年度に市発注の撤去事業を受注した業者が、残存ごみの撤去について、協議書で合意したことを受けて実施。撤去費用は業者負担となっている。
市側の説明によると、東平安名崎近くの崖下から作業を開始した。作業中に大きな石の落石が相次ぎ作業がストップした。ロラン局隣の崖下も同様に落石が相次ぎ、さらに地滑りなども発生したことから撤去作業は中断しているという。
下地部長は「ゴールデンウイーク明けに市の顧問弁護士を含めて現場を視察した。視察でも確認できたが両方の場所ともはるか下の方まで大量のごみがあった。現場の安全が確保されない中で取れる状況ではない」と述べた。
今後については「作業を再開するにしても安全をどうやって確保するのかが課題。作業員の命を危険にさらした作業を行政が『やれ』とは言えない。しかし、『撤去する』としている協議書をどうするかという問題がある」と話している。
市と業者が交わした協議書では、保良の2地区と友利を含めた3地区の残存ごみ(114・4㌧)を業者が経費を負担して撤去するとしている。
さらに、業者が労基法、労働安全法、労働者災害補償保険法など関係法令上のすべての責任を負うとしている。
下地部長は「業者も意地になって撤去しようとしているが、作業員の安全が確保できないと無理。大型重機で作業を進めるにしても業者にはかなりの負担になり、そのまま進めれば破産する。今後は行政の責任として新たな予算措置や撤去作業を取りやめるのかを含め、検討する段階に入ったと思う」と述べた。
また、土壌調査で「鉛」が基準値を上回った友利崖下についても、地表の下が「土壌」か「ごみの山」かで撤去についての適用される法律が違うことが判明。まずは地表下の状況を調査する必要があるとしている。
しかし、地表下を調べる調査方法についても、まだ方向性が見い出せていない状況で、友利崖下についても再撤去に向けためどが付いていない。
結局、市と業者が交わした協議書の履行は、困難な状況に陥っている。