被災船、宮城県へ里帰り/東日本大震災
博愛漁港沖で発見/気仙沼試験場で展示へ
宮城県で東日本大震災に被災し、今年5月12日に博愛漁港の沖合で発見された被災船「海翔丸」が2日、保管されていた博愛漁港から、所属する宮城県水産技術総合センター気仙沼試験場に向け、出発した。海路で東京まで運ばれ、そこから陸路で気仙沼まで輸送される。発災から5年余りの漂流を経て里帰りする。
2011年3月11日の東日本大震災で被災した、宮城県水産技術総合センター気仙沼水産試験場が復興し、8日に竣工式が行われる。この竣工式に「海翔丸」を同震災のモニュメントとして展示、その後は同船が漂流していたことから、海洋循環の教材として活用することなどが検討されている。
同県水産業振興課の増田義男技術主査は「もう、ないものと思っていたので、連絡を受けたときは驚いた」と話し「竣工式では、同船が降ろされるところを皆さんに披露し、その後は教材などにしたい」と、活用方法を検討している。
「海翔丸」は5月12日、上野博愛漁港沖約5・5㌔の海上で付近を航行していた漁船(砂川有造船長)が発見し、宮古島署に通報した。宮古島署から通報を受けた宮古島海上保安署の潜水指定船「なつづき」が出動し、砂川船長の協力を得て、博愛漁港にえい航した。
砂川船長は「発見当時は海が荒れていたので、転覆した船の底が見え隠れしていた。最初は死んだ鯨かと思った。よく見たら転覆船だったので、通報した。とにかく地元に戻れるのは良かった」と話した。
「海翔丸」は船体にうっすらと残っていた漁船登録番号から気仙沼試験場の船と判明した。