怒号、ヤジ飛び交う/陸自配備説明会
賛成、反対派の対立激化
「黙ってろ」「質問になっていない!」。12日に開かれた陸自配備計画に関する説明会。賛成派、反対派それぞれの意見は激しく対立し、最後まで怒号とヤジが飛び交った。双方の主張に隔たりは大きく、感情をむき出しにして非難し合う場面も多く見られた。防衛局の説明を受けて、賛成派はおおむね納得、反対派の理解は進まなかった。
防衛局の説明が一通り終わると、住民の質問への回答と質疑応答があった。
上野の千代田カントリークラブへの訓練場、宿舎建設を懸念する住民は「野原地区は自衛隊に挟まれた形になる。どういう選定の仕方か」と説明を求めた。
防衛局の森浩久企画部長は「要件を考慮して選定している。すべてを説明できるわけではない」と話して理解を求めた。
水源流域に隣接する場所に駐屯地を配備する計画に反対の女性は「市民が納得できる説明があるまで認められない」と主張。学識者の指摘を交えながら防衛局側に再考を求めた。
しかし防衛局は「すべては説明できない」とする見解を繰り返し、「地下水に影響を与えてはいけないという考え方を今後も維持していきたい」と述べた。
別の男性は「どうしてここなのか」と大福牧場周辺での建設を疑問視し、「防衛省は真摯に受け止め、宮古島市民と話し合うべきではないか。場所を変更する可能性はないのか」と問いただしたが、「防衛省でさまざまな要素を検討し、その結果として2箇所をお願いしている」と述べ、変更には難色を示した。
宿舎の分散を求める声には「歓迎されることはありがたいことだが、どういうことができるのか検討させていただきたい」と述べるにとどめた。
陸自配備に伴う有事誘発を懸念する声もあった。防衛局は「自衛隊を配備することで力の空白域をつくらない。自分の国をしっかり守るという意志を示すことで戦争を起こさせない。抑止するという考え方で自衛隊配備を計画している」と答えた。地対艦、地対空誘導弾部隊の配備目的は「わが国に侵攻してくる海からの攻撃、空からの攻撃に対処する部隊」と説明した。
こういった質疑の時間が進むに連れて怒号やヤジの声は激しさを増した。熱を帯びるそれぞれの主張に対し、防衛局は淡々と説明を続けていた。
50代の女性は「なぜこんなことに…」と怒号が飛び交う現状に残念そうな表情を浮かべた。「賛成、反対の意見はあると思うが、ここまで言い争わなくてもいいと思う」と話した。