市民、地下水汚染を懸念/陸自配備
防衛局は計画地変更に難色/初の説明会に350人参加
宮古島への陸上自衛隊配備計画に関する沖縄防衛局の説明会が12日、市中央公民館で開かれた。地下水保全の観点から、大福牧場周辺での配備断念を求める声に対しては「難しい」と回答、地下水保全に万全を期す考えを示した。同局は宮古島に地対空誘導弾部隊の指揮統制部隊を配備する計画を明らかにしたほか、千代田カントリークラブに整備する訓練場にヘリが離着陸する可能性にも触れた。
防衛局による説明会は初めて。会場には約350人の市民が詰め掛けた。
説明会では、事前に提出されていた市民の質問に防衛局側が回答した。宮古島と石垣島における配置人員の違いについては「宮古島に地対空誘導弾部隊の指揮統制部隊を置きたいと考えている」と述べた。宮古島には700~800人規模の人員を配置する予定だ。
自衛隊配備が攻撃を誘発するのではないかとする問いに対しては「自衛隊があることによって戦争を起こさせない。起こるような状況をつくり出さないことが抑止の考え方」とした。
訓練の内容は、「まだ何も決まっていない」としながらも大規模な演習や野外での実弾射撃訓練は「行わない」と明確に否定した。
多くの市民が懸念する地下水保全については「宮古島市の地下水は非常に重要なものだと認識して設計している」などと回答。汚水処理のフローイメージを示したり、漏水対策を説明したりして理解を求めた。
活断層の存在や津波の危険性の指摘には「この地域に断層は及んでいないと確認している」とし、「実際の開発に当たってはボーリング調査をして地質の調査をする。危険なところに建物は建てない」と述べた。
津波は「(配備地の)標高はクリアしていると認識している」と答えた。
質疑に入ると、千代田カントリークラブに整備する訓練場内に「ヘリが飛ぶことはありえる」という説明があった。同クラブの選定理由については、「運用だとか、装備品だとか、いろいろ要件を考慮して選定している。すべてを説明できるわけではない」とした。
場所の変更を求める声には「難しい」と難色を示した上で、「なかなかしっかりと答えられないのは申し訳ない」と釈明した。
説明会の冒頭、平井啓友次長は領土、領空、領海問題に触れ、「力による現状変更を許してはならないという意志のもとで、国民の生命、財産を守る」などと強調。宮古島における陸自配備については「抑止力を高めることに加えて、災害時には救援活動に迅速に対応できる。住民の安心の確保につながる」と述べた。
説明会後、住民への説明や回答を担当した森浩久企画部長が報道陣の質問に答えた。住民の理解促進に向けて「市と相談しながら進めていきたい」と述べた。
宮古島に陸自を配備する防衛省の計画では、大福牧場地区に駐屯地の新設を予定。そのほか、隊庁舎、グラウンド、室内射撃場、貯蔵庫(弾薬庫)等の整備を挙げている。千代田カントリークラブ地区には訓練場と宿舎を整備する。