陸自配備現計画地 与党10人が反対/市議会
断念求め市長に要請/水保全「市民の不安増幅」
宮古島への陸上自衛隊配備計画で、市議会与党の真栄城徳彦氏ら8人と公明党議員団は14日午後、下地敏彦市長に対し、旧大福牧場周辺での駐屯地建設計画の断念を防衛省に求めるよう要請した。地下水保全の観点から、現計画地における建設に反対の意向を表明。「市民の理解を得ることは到底困難」としている。下地市長は「真摯に受け止め、十分検討したい」と述べるにとどめた。
要請した与党議員は真栄城氏、嵩原弘氏、上地廣敏氏、下地勇徳氏、棚原芳樹氏、平良隆氏、佐久本洋介氏、下地明氏の8人。
同じ与党議員団の西里芳明氏、濱元雅浩氏、垣花健志氏、平良敏夫氏、仲間則人氏は賛同しなかった。
要請では、陸自配備の必要性は認めながらも、旧大福牧場周辺での駐屯地建設は「市民の理解を得ることは到底困難」と主張。「与党議員有志は、同地における自衛隊施設建設計画に反対する」と述べた。
反対の理由として、地下水審議会学術部会の見解などを挙げている。
その上で市長に対し、旧大福牧場周辺における自衛隊施設建設計画の断念と計画の見直しを防衛省に申し入れるよう要請。併せて自衛隊配備の必要性の多角的な検証と、容認の態度を明らかにするよう求めた。
一方、公明党議員団は陸自配備の賛否については言及せず、地下水を保全する観点から、現計画地での建設の断念を防衛省に申し入れるよう要請した。要請文では「最高責任者である下地市長が、地下水保全の姿勢を市民に示すことが市民に安心感を与えるものと考える」と明記した。
同時に、白川田水源流域集落への農漁業集落排水事業の導入推進を求めた。
要請後、与党議員の真栄城氏は「学術部会の意見などが新聞報道され、市民の不安は増幅している。多くの市民が心配しているように水がめの近くに自衛隊施設を造るのは良くない」と主張。「別のところに建設するのがベターであり、誰でもそう思う」と述べた。
要請に対する回答は6月定例会の一般質問で求めるとし、「断念すると言ってほしい」と期待した。
与党議員団の足並みがそろわなかったことについては「彼らは不安はないと断言している」と述べ、考え方の相違を認めた。
要請に同意しなかった西里氏は取材に対し「私自身は地下水の汚染はないと考えている。仮に別の場所となれば時間がかかる。そうなると立ち消えの可能性も出てくる」と話した。
一方、公明党議員団の富永氏は「水は市民の一番の関心ごと。自衛隊に限らずあそこへの建物の建設計画には断固反対していく」と語気を強めた。陸自配備の賛否については「今のところ論議していない。時がきたら論議をする」とした。