市長 陸自受け入れを表明/市議会一般質問
中国、北朝鮮の脅威指摘/大福牧場への建設は認めず
下地敏彦市長は20日、宮古島市への陸上自衛隊配備計画について「了解する」と述べ、事実上の受け入れを表明した。一方、施設の計画が予定されている2カ所の内、大福牧場周辺については「水道水源への影響はないとは言い切れない」として認めないとした。防衛省には伝えたという。千代田カントリークラブについては言及しなかった。開会中の市議会(棚原芳樹議長)6月定例会一般質問で、真栄城徳彦氏の質問に答えた。
宮古島への陸自配備計画で防衛省は、大福牧場地区に駐屯地の新設を予定。そのほか、隊庁舎、グラウンド、室内射撃場、貯蔵庫(弾薬庫)等の整備を挙げている。千代田カントリークラブ地区には訓練場と宿舎を整備する計画で、人員は700~800人規模。
下地市長はこれまで、自衛隊は国防上の観点や市民の生命財産を守る上から「離島である宮古島においては必要であると考えている」とたびたび述べていたが、明確に受け入れを表明したのは初めて。
陸自配備計画については、反対派と推進派の間で意見が鋭く対立しており、今回の下地市長の発言で激しさを増しそうだ。
下地市長は陸自を受け入れる理由として①尖閣諸島周辺地域では中国公船が頻繁に領海侵犯を繰り返し、宮古、八重山地域の漁業者の同海域での操業に対し、中国公船が威嚇するなどの行動を取っている②最近は、中国軍艦が接続水域を航行し、尖閣諸島は中国の領土であると主張している③北朝鮮は、挑発的なミサイル発射を再開するなど、隣国の脅威は一段と厳しさを増している-などを挙げた。
その上で「市民の生命財産を守り、かつ日本国の平和の安定的な維持、国土の保全及び国民の安全を確保する観点から、宮古島への自衛隊配備については了解致します」と述べた。
一方、大福牧場周辺での施設建設計画については「認めない」とし、その理由として、周辺には活断層があることから、熊本地震への活断層の揺れにより甚大な被害が発生したことを挙げ、「市民および多くの議員の水道水源である地下水汚染への懸念等が表明されたことなどを真摯に受け止め、市民の命の源である水道保全を図ることは市政を担う市長の責務であると考える」と強調。「大福牧場周辺での大型工事が実施された場合、水道水源への影響はないとは言い切れないと判断した」と述べた。
大福牧場周辺は白川田水源流域となっていることから、市民団体が同周辺への自衛隊基地建設を撤回するよう下地市長にたびたび要請。市議会与党有志と公明の各議員計10人、市議会中立会派の21世紀新風会も市民の理解の得られる場所への変更を求めるよう要請していた。