新たに23カ所を発見/慰霊の日・平和展関連行事
戦争遺跡、久貝さん(市文化財係)報告
23日の「慰霊の日」にあわせ、市総合博物館(上地等館長)は同日、慰霊の日・平和展の関連行事「新発見された戦争遺跡の報告」を開いた。2015年度に戦争遺跡調査を実施し講師を務めた市文化財係の久貝弥嗣さんは、2005年に県立埋蔵文化財センターが報告書の中で記録した宮古島市内の62カ所の戦争遺跡を説明。その上で「近年は、ほ場整備工事などに伴い、壕の新発見が相次いでいる。昨年度城辺地区で新たに23カ所の戦争遺跡を確認した」と明らかにした。今回の新たな発見で戦争遺跡は85カ所に増えた。市民らが熱心に聞き入っていた。
15年度に実施された調査で新しく発見された戦争遺跡を報告し、足下の平和・命の大切さについて改めて考える機会とするのが目的で開催された。
上地館長は「戦争の悲惨さを伝える戦争遺跡は宮古にも数多く残っている。戦後71年が経過した今なおまだまだ発見されていない戦争遺跡があるものと考えられている」とあいさつし、久貝さんの調査結果報告に期待を寄せた。
同センターが報告した62カ所の戦争遺跡地域別では、平良が16カ所、城辺26カ所、下地4カ所、上野11カ所、伊良部5カ所。城辺は昨年度に発見した23カ所を加えて49カ所となった。
久貝さんは「地域からの情報提供や地域での聞き取り調査をもとに確認した」と述べた。
新たに発見した戦争遺跡のうち、城辺下里添の「野戦重火器秘匿壕群(やせんじゅうかきひとくごうぐん)」を紹介。「この壕群は4つの壕から構成され、東側の3つの壕は96式15糎榴弾砲(せんちりゅうだんほう)を秘匿、設置するために構築されたもの。壕入口近くの壕内では左右が膨らみで掘られており、その特徴的な形態から96式15糎榴弾砲を設置するために掘られたものと見て取られる」と語った。