紫イモ、香港に直輸出/コーラル・ベジタブル社
今期50㌧、広がる販路/国内外で引き合い強く
コーラル・ベジタブル社が製造する宮古島産紫イモのペーストが25日、香港に向けて直接輸出される。オンラインでの通関が可能になった新制度を活用して直輸出の道筋をつけた。今期は約50㌧の出荷を見込んでおり、前期と比べて30㌧以上の上乗せとなる。同社の安慶名浩社長は「国内外問わず、紫イモの引き合いは強い」と販路の広がりを強調。紫イモペーストの海外展開が注目される。
コーラル社は昨年6月に経営陣を刷新。所有900株を無償譲渡した宮古島市の下地敏彦市長らが取締役から退き、新社長には当時沖縄製粉新規事業開発部長の安慶名氏(現・広域流通事業部長)が就任した。
これ以降、同社は沖縄製粉の販売ネットワークを生かした経営戦略で独自の市場を開拓してきた。海外部門では香港の大手飲食店グループ「マキシム」と交渉を進め、紫イモペーストの供給ラインをつくった。
同社によれば、マキシムは宮古島産紫イモのペーストを使ったお菓子を次々と市場に投入。売れ行きや消費者の評価は高く、今後さらなる需要の高まりも期待できるという。
海外向け出荷量は前年度の18㌧に対し、今年度は6月現在で36㌧と急激に伸びている。来年度は70~80㌧を出荷する見通しだ。
このような中、コーラル社は課題であった物流コストの圧縮と輸送期間の短縮を目的に、直接輸出するという県内初の取り組みに着手。このほどオンラインで通関が可能となる新制度を活用し、従来「宮古島→那覇→香港」だった流れを宮古島から香港に直接輸送するルートを構築した。
直輸出の初荷の積み込みは22日に行われ、ペースト12㌔入りのケース450個をコンテナに積んだ。船は25日に出港、28日には香港に到着する予定だ。
コーラル社は今期、国内外に約150㌧のペーストを出荷する。経営も上向いており、安慶名社長は「需要はまだ伸びる」と宮古島産紫イモのブランド化に自信を見せる。「宮古島産の農産物をもっと海外に広めていきたい。コーラルに注目してほしい」と話した。
現在、紫イモを同社に搬入している農家は33戸。生イモの確保とペーストの安定供給に向け、一層の生産拡大が求められている。