ロマン膨らむ浦底遺跡/市文化講座
宮古の無土器文化考察
市教育委員会の2016年度公開活用事業第1回文化講座が2日、市中央公民館で始まった。初回は琉球大学研究推進機構戦略的研究プロジェクトセンターの山極海嗣さんが講演。浦底遺跡から出土した貝斧資料から見える時間的変化を考察し、当時の人々の生活様式に思いをはせた。
同講座は、宮古の歴史に関する最新研究を広く市民に周知、普及することが狙い。約2900~1100年前の宮古の無土器期を対象に文化の様相を考える。
山極さんは、「サンゴ島に生き、文化を築いた人々~浦底遺跡から考える新しい無土器文化像~」と題して講演。今回、30年ぶりに宮古島に戻った出土資料を基に話を進めた。
年代ごとに分かれた4枚の層すべてから「貝斧や石器が出土している」とした上で、「貝斧のサイズにバリエーションがある」などと指摘。丁寧に磨かれた小型の貝斧から、局部研磨の大型貝斧へと時間的に変化があることを強調した。
また、サンゴ島である宮古島の古い層から、火山島石材の石斧が存在していたことを紹介し、「宮古島人は火山島石材と石斧を知っていたが、それでも貝で斧を製作することを選択している」などと述べた。
これらの研究結果を踏まえ、「(宮古島人が)『どこから来たか』という文化伝播の問題だけでなく、宮古島というサンゴ島環境で生き抜いた人々がいかに環境に適応し、どのように文化を形成したかという問題を考える上で(浦底遺跡の出土資料は)多くのヒントを与えてくれる」とした。
第2回講座は来月13日に開催。グスク時代に拓かれた交易ルートを探る。第3回講座では宮古島グスク時代の農耕(仮題)について考える。9月開催。