漁師と「アギヤー」写真に/中村さん、出版記念講演
写真家、中村征夫さんの講演会(プラネット・フォー主催、伊良部島漁業協同組合共催)が6日、伊良部公民館で開かれた。中村さんは、伊良部島に伝えられている伝統漁法「アギヤー」で、グルクン(和名・タコサゴ)を追い込む漁師の姿などを写真で紹介。海の美しさと恵み、かつて栄えた漁師町を振り返った。
講演会は、アギヤー漁を30年にわたり記録した写真集「遙かなるグルクン」の出版記念として行われた。
講演で中村さんは「アギヤーでは、全員が自分の分担を分かっている。海の中で、流れるような作業が進行していく。カメラマンから見れば息を呑む美しさで、その瞬間を切り取り、見せてあげたいと思った」と話した。
母船から海に飛び込む漁師や、竹製の脅し棒「スルシカー」を使って、魚群を網へ追い込む様子などをモノクロ写真で紹介した。
グルクンを「青い宝石と思えるくらいに美しい」「泳ぐと『ヒュルヒュルヒュル』と音が聞こえてきそうだ」などと語り、グルクンの群れ泳ぐ様子や、袋網に入り引き上げられていく姿を紹介した。
漁港を臨む急斜面にコンクリートの家が建つ佐良浜の街並みや、漁港にサバニがぎっしりと停泊している様子、漁師直伝のロープの結び方など、かつての漁師町の面影を切り取った写真と、それにまつわるエピソードは最後まで聴衆を引き付けていた。
講演後は地元の漁師と意見を交わす「アギヤー漁師たちとの座談会」が開かれた。
参加した一人の漁師は「きょうはグルクンが捕れるか捕れないか、ばくちのようなものだし、グルクンとの駆け引き、潮の読みを間違えると一匹も捕れない場合もある」と話した。その上で「アギヤーは、自分の感じている楽しさを証明できないほど楽しい」と語った。