地下水への影響を憂慮
新城さん(琉大教授)招き教育講演会/琉大同窓会宮古支部主催
琉球大学同窓会宮古支部(長濱幸男支部長)は6日、市内のレストランで教育講演会を開いた。講師を務める琉大理学部教授で地質学専門の新城竜一さん=平良出身=は、平良の白川田流域の水源について述べた上で「陸上自衛隊の新基地の宮古島への配備に関して島は大きく揺れている。建設候補地については、活断層の分布や地下水脈への影響など、地学的要素にも十分配慮した議論や検討が必要である」と強調した。参加者らは、真剣な表情で聞き入っていた。
新城さんは、テーマ「宮古島の活断層と地下水」で講演した。その中で「宮古島の特徴的な地形は、北北西ー南南東の方向に伸びた複数の崖地形。これらは断層によってできた断層崖で、宮古島断層群と呼ばれている。この断層群は、東部(新城・福里断層系)、中部(長沼・与那原・野原断層系)、西部(腰原・嘉手苅・来間断層系)と大きく三つに分けられている」と説明した。
その上で「宮古島には活断層が多いが、その原因について明確に示した資料はない。GPSデータに基づく歪速度分布の解析では、宮古島は沖縄本島と一体となって動いているらしい。その速度は年約4㌢ほど南へ移動している」と説明した。
同支部の会員で講師を務める宮古島市総合博物館協議会委員の安谷屋昭さんは「宮古諸島の地質層序と主な地質学的イベント」と題して講演した。
地質に詳しい安谷屋さんは作成した「宮古諸島の地質層序表」を初めて紹介。参加者らは、今後の貴重な資料として評価していた。
また、国の文化審議会が今年6月、文科省に「宮古島保良の石灰華段丘」を天然記念物に指定するよう、答申したことについて取り上げた。
潮間帯から標高4㍍までに形成される石灰華段丘は、棚田状の地形。長さ約70㍍、最大幅約30㍍の範囲に、石灰沈殿物(石灰華)によって縁取られた小池が300個以上が分布。野外の石灰華段丘としては国内最大級規模とされる。