移植サンゴ 一部死滅の可能性/海中公園建設工事
市、きょう除去作業実施
宮古島市が平良狩俣の海域で進めている海中公園建設工事で、移植された700群体のサンゴの一部が死滅する可能性のあることが4日までに分かった。先月下旬の台風や大しけの影響で砂をかぶり、部分的に光合成ができない状態にあるため。同公園を市民監視する会の調査で分かった。市海中公園プロジェクト室は「市長が潜ったとき(今月2日)にでも調査するべきだった」などと管理責任に言及、きょう5日にサンゴに付着した砂の除去作業を実施することを決めた。海底の掘削工事は4日現在で未着工のまま。市は同会が求めている新たなサンゴの移植要請には応じない方針。
サンゴが移植された海底を同会の猪澤也寸志代表が撮影。移植された複数のサンゴが砂をかぶり、光合成ができない状態にある。
周辺海域は先月25日午後から大しけになり、その後に接近した台風の影響も受けて1週間ほど荒れ模様だった。この悪天候によるうねりで海底の砂が移動を繰り返したとみられる。
4日午後、市役所平良庁舎で会見した猪澤代表は、「サンゴを移植したら管理をしなければならない」として市に生息管理の徹底を要請した。これを受けて市はダイバーを潜らせて現場を調査。併せて沖縄環境分析センターに状況を報告したところ、「砂がかぶった状態が長く続くと死ぬこともありえる」ことを確認した。
仮に25日から砂をかぶった状態が続いていれば、すでに1週間以上が経過している。市は一部が死滅する可能性があるとして、5日に砂の除去作業を行うことを決めた。
4日に市民団体の指摘で現状を把握した市海中公園プロジェクト室は「きょうまで報告はなかったが、台風後に移植した場所も確認するべきだった」などと話し、早急に対応できなかったことに対する管理責任に言及。その上で「しっかり監視したい」と話した。
一方、海中公園を市民監視する会が求めている新たなサンゴの追加移植については「すでに工事が始まっており採捕はできない。市長も視察している」と説明した。これに対し猪澤代表は「市長は工事海域にあるサンゴを見ていない」と2日の視察を疑問視。「まだ1500群体以上のサンゴが採捕できる」と主張している。