繁栄願いクイチャー奉納/伝統のミャークヅツ始まる
池間、佐良浜、西原の3地区で
伝統祭祀(さいし)の「ミャークヅツ」が旧暦8月の甲午(きのえうま)の日に当たる9日、平良池間、伊良部佐良浜、平良西原の3地区で始まった。初日は池間と佐良浜の池間添、前里添で地域住民がクイチャーを奉納し、向こう1年の豊作豊漁、子孫繁栄などを祈願した。きょう10日は西原の集落内でパレードやクイチャー奉納が行われる。
3日間行われる池間島のミャークヅツ。初日は朝から数え年で55歳以上の
男性が真謝、上げ桝、前ぬ屋、前里の四つのムトゥ(元)家に集まりミャークヅツの開会を宣言するとともに、今年、入会した新会員が自己紹介した。今年は四つのムトゥに計28人の1962年生まれが仲間入りした。
午後4時過ぎには水浜広場に移動。ツカサンマらが輪を作って神歌を唱和し、扇で広場を清めた後、クイチャーを奉納した。女性たちの輪の外側に青い法被を着て、はちまきを巻いた男性が
大きな輪を作り、クイチャーを力強く踊った。
今年、新入会した与那嶺泰雄さんは千葉在住で、ミャークヅツに参加するため帰省した。「島を離れているので、新入会したことで原点に帰る感じ。島を見つめ直す3日間になると思う。朝3時に集合する3日間は体力的には大変だが、おじいたちが優しく見守ってくれているので温かい気持ちになり、つながっていると感じられる」と語った。
伊良部佐良浜のミャークヅツは、池間添と前里添で行われ、「ミーウヤ」と呼ばれる男性らが佐良浜のクイチャーを踊り続けた。
池間添は数え47歳、前里添は数え50歳がミーウヤと呼ばれる。池間添、前里添ともに約25人が参加し、それぞれ伝統の行事に触れる喜びをかみしめた。
池間添のミーウヤは、紺色のミャークヅツ専用のポロシャツを着て踊った。全員が頭にタオルを巻き、吹き出す汗をぬぐいながら豪快に踊り続けた。
一方の前里添のミーウヤは法被姿で踊った。池間添と同じように頭にはタオルを巻き、「ヒヤッ!」という勇ましい掛け声とともに何度も飛び跳ねていた。
池間添のミーウヤの大浦晃弘さんは「こうしてみんなと踊ることができてとても楽しい。伝統のミャークヅツをしっかりと守っていきたい」と話した。
前里添ミーウヤの善平清正さんは「昔から続く行事に参加することができてうれしい。先輩たちから受け継いだ行事であり、今後は私たちが後輩に引き継いでいく」と伝統行事の継承に気を引き締めていた。