子どもの貧困の現状語る/堀川県研究所長が講話
「学び支える」テーマに/教育研究集会記念講演会
第63次教育研究集会(主催・県教職員組合宮古支部)の記念教育講演会が1日、久松小学校体育館で開かれた。県総合子ども研究所の堀川愛所長が講師を務め、「子どもの貧困を学び支える」をテーマに子どもの貧困問題の現状やその背景などについて語った。
堀川所長は、発展途上国の難民キャンプなどで食糧支援を受けているような貧困は「絶対的貧困」と定義されるのに対し、最近、日本で言われている子供の貧困は一般的にできることができない状態になる「相対的貧困」と説明。具体例として、3食の食事が取れない、学校の修学旅行に参加できない、高校、大学への進学をあきらめる、地域のイベントに参加できないことなどを挙げた。
現代の貧困は医療や食費を制限したり進学を断念する経済的貧困と、虐待や社会的孤立などから生じる非経済的(社会的)貧困が合わさった複合的貧困が多いと語る堀川氏。その背景には非正規社員の増加や正社員でも所得が上がらない経済状況、子育ての自己責任論の一般化、地域ネットワークの損失などがあるとの考えを示した。
日本の子供の貧困の問題として、親に対して「子育てができて当たり前」という社会からのプレッシャーがあり、親も「頑張れない自分が悪い」などと思ってしまい、子育てができていない現状を言えないようにする努力をしてしまう悪循環が生まれることなどを挙げた。
貧困の定義が明確になっていないことも日本の問題点と指摘。最低限の暮らしをするために必要なものは何かという指標を明確に定め、社会認識を統一させることで支援が行いやすくなるとの考えを示した。
来場者は堀川所長の話を熱心に聞き入っていた。