「統廃合は地域を弱体化」/池上氏
学校存続と地域再生で講演
「学校の存続と地域再生」と題した講演会(主催・地域再生に取り組む会)が8日、城辺公民館で開かれた。講師で自治体問題研究所理事の池上洋通氏が、学校が無くなると地域はどうなるのかをテーマに、学校統廃合についてさまざまな観点から考察した意見や提言を述べた。池上氏は「学校統廃合は地域社会を弱体化させる」と述べ、現在、宮古島市で進められている学校統廃合に
疑問を呈した。
池上氏は地域は▽人間社会の相互性認識の獲得の場▽教育条件の一部であり、その位置は権利である-などと指摘。「地域は人間の成長に不可欠で、学校統廃合は子どもから地域を奪うことになる」とした上で、「地域があるからこそ、われわれの権利が保障される。私たちは多くの人に支えられ生きているということを認識するためにも、地域は極めて重要だ」と述べた。
高知県西土佐村(当時)の人たちは学校存続に向け「子どもたちは自分たちの未来。普段からきちんと育てよう」と決め、登校する子どもたち全員に、家々からあいさつをする運動を地域一体で取り組んだ事例を紹介。また、三重県の紀伊長島町(同)では、中学校の建て替えに町有林の木を伐採する話を聞いた宮大工が無償で働きたいと申し出たことや、建て替えた校舎はどんな豪華な建物にもひけを取らなかったエピソードなどを示して、「皆さんにそういう覚悟はあるか。学校統廃合についてはもう一度きちんと考えてみる必要がある」と話した。
同講演会は9日には伊良部地区でも行われた。