「朝食抜き、テストに影響」/家庭教育支援講演会
前橋氏(早稲田大教授)が指摘
宮古地区家庭教育支援講演会(主催・県教育委員会)が7日、市中央公民館で開かれた。小中学校やPTAなど関係者ら約100人が参加。講師に招かれた早稲田大学人間科学学術院の前橋明教授(医学博士)が「子どもの生活リズムづくり~子どもの心とからだが危ない~」と題して講演した。
前橋教授は「沖縄では、朝食を欠食する子どもが多い。朝食は体温を上げる役割があり、文部科学省の学力テストで沖縄が低いのは、欠食にも原因ある」と研究の一端から指摘した。
前橋教授は、過去に高知県からの依頼で、1校時前に子どもたちを対象にアンケート調査を実施した。その結果、朝食を欠食した場合の体の状態で、1位になったのは園児、中学生、高校生が「眠い」。小学生が「体がだるい」。「これでは学力向上にはつながらない」と憂慮した。
2008年度に文部科学省が実施した学力テストの国語正答率で、大阪府、高知県、沖縄県の3府県を比較すると、正答率は大阪府、高知県、沖縄県の順だった。
前橋教授は、「高知県教育委員会では危機感を持ち、キャラクターの着ぐるみを作り『はやねちゃん』『はやおきくん』『あさごはんまん』運動を展開した。今では全国的に広がっている」と語った。
さらに前橋教授は、午後10時すぎ就寝の幼児について「07年以降、那覇市は68・2%、大阪市49・6%。9時間30分を下回る短時間睡眠児(幼児)は、注意集中が困難になり、イライラし、じっとしていられなくなり、歩き回る」と説明した。
その上で「沖縄では、9時間30分未満の幼児は、5歳男児が58・8%、3歳女児58・1%、4歳女児57・3%。これでは長寿県の沖縄の将来が危ない」と警鐘を鳴らした。
講演に先立って上野中学校の砂川恵教諭が「上野中学校における食に関する教育実践について」と題して事例報告した。
その中で砂川教諭は、「宮古の小学校食習慣調査結果から、小学5、6年生の25%が肥満。また中学生食習慣調査結果から、中学生の肥満は20・4%」。小中生ともカルシウム・鉄分・植物繊維が不足し、食塩・脂肪の過多が見られる。カルシウムや鉄分不足は成長の妨げとなり、食塩や脂肪の摂取過多は、生活習慣病の恐れがある」と指摘した。