人材不足など課題/公庫経済懇談会
観光客、公共工事増で/解消向け意見や提言
沖縄振興開発金融公庫(川上好久理事長)と宮古経済界代表や行政トップらが意見交換する2016沖縄公庫・宮古経済ワイドー懇談会(主催・沖縄公庫)が2日、市内ホテルで開かれた。出席者は、観光入域客数が加速度的に増加していることや、大型公共工事の発注が増えていることなどを報告。人材不足で対応に追われていることを課題に挙げた。その上で、外国人労働者の受け入れや技術者の育成、宮古ブランド化戦略の考え方など、さまざまな立場から意見や提言を行い、公庫の果たすべき役割の重要性を改めて確認した。
宮古地域における産業や経済動向および公庫に対するニーズを把握することが目的。地域の人たちと相互理解を深め、宮古地域の一層の経済発展に寄与することを狙いとしている。
懇談会で、佐平八十男氏(佐平建設代表)は、観光産業の発展に伴い、各地でリゾート開発などが急ピッチで展開されている状況を挙げ「技術者や一般労働者の人材確保が困難になっている」と話した。
「宮古の建設業界では未曾有の出来事といっても過言ではない」と佐平氏。「人手不足の解消のためには、外国人労働者の受け入れを真剣に考える時期にきている」と述べ、受け入れ窓口の整備を求めた。
池田秀光氏(池田冷凍食品専務)は、宮古家畜競りで、子牛の価格が好調に推移していることを説明。「しかし、価格が下がれば畜産業が衰退する可能性がある」と述べ、さまざまな環境の中でも生き残れるような新たな生産革新を探るべきだと主張した。
砂川智子氏(農業生産法人楽園の果実代表)は、マンゴーのブランド化について「多くの耕地面積や収穫量、生産農家の多さよりも、日本を代表するマンゴー農家が何人いるかがブランド化につながりやすいと考えている」と語り、品質の高い農産物を生産する農家の育成が大事だと強調した。
嘉手納竜一氏(伊良部商工会青年部)は、伊良部大橋開通で、島を訪れる観光客が増加しているものの、土産品の購入など島内消費にはつながっていないと報告。島の活性化に向け「小規模事業が連携し、チームとしてアピールしていくことが大事。そういった取り組みに支援を要望したい」と話した。
懇談会の冒頭あいさつした川上理事長は「県内の経済状況は復帰以降、最高の状況に近づこうとしている」と述べ、堅調な成長を示していることを紹介。宮古地区に関しては、サトウキビや畜産を主体にした農業生産額の伸びに期待が持てるとした。
観光面では、本土直行便の開設や大型クルーズ船の寄港回数の大幅増を挙げ「宮古地区の経済は、総じて堅調に推移している」と述べた。
「伊良部大橋の開通に伴い今後、伊良部地区が飛躍的に発展するだろうと期待している」と見通しを示した。
その上で川上理事長は、人手不足の課題を挙げて「公庫としても一生懸命応援していきたい」と同懇談会開催の意義を強調した。
懇談会出席者は次の通り。
【経済界、行政代表】池田秀光(池田冷凍食品専務)▽大浦貞治(伊良部商工会長)▽嘉手納竜一(同青年部)▽久貝富一(県宮古事務所長)▽佐平八十男(佐平建設代表)▽下地さおり(宮の華代表)▽下地義治(宮古島商工会議所会頭)▽砂川智子(農業生産法人楽園の果実代表)▽長濱政治(宮古島市副市長)▽根間靖(宮古島シティアンドリゾート総支配人)▽本村貞和(宮古島漁業協同組合モズク養殖生産部会長)
【沖縄公庫】川上好久(理事長)▽具志堅忠昭(理事)▽喜納兼次郎(企画調査部長)▽玉那覇通男(宮古支店長)▽新垣尚之(企画調査部業務企画課長)