避難所施錠で入れず/池間島での防災訓練
市、鍵の管理体制見直しへ
池間島で津波を想定した防災訓練で、一時避難所の池間地区防災センターが施錠されたままで、避難してきた住民らが建物の中に入れなかったことが8日までに分かった。鍵を管理する自治会長が不在だったことが原因で、施設を管理する市は「管理者が被災する場合も想定し、段階を踏んだ確実にできるバックアップ態勢を構築していく」と話している。訓練参加者からは、災害発生時の管理体制に不安を抱いたものの「状況に直面したことで、課題を見つけることができた。『自分の命は自分で守る』という防災への意識がさらに高まったのではないか」と前向きに捉える声もあった。
防災訓練は2016年度県広域地震・津波避難訓練で、県下全域で5日午前10時ごろから実施。池間島では、小規模多機能型居宅介護事業所「きゅーぬふから舎」の利用者や職員約20人のほか、地域住民らが参加した。
防災センターは1階に避難室、トイレ、給湯室を設け、2階の倉庫に自家発電機、テントを収容し、飲料水などを備蓄する。延べ床面積約260平方㍍。収容人数約350人。
施設の鍵は同自治会の波平三郎会長が保管しているが、事前に訓練実施を知らされておらず、また当時は島外だったために対応できなかったという。
市総務部の宮国高宣部長は「鍵の管理の在り方については、早急に改善に努める」とし、具体的には地域の消防団詰め所や学校など、複数で鍵を管理する体制を構築していくとした。
防災センターは下地与那覇、伊良部地区にも整備されており、鍵の管理については同様に改善を図る。
宮国部長は「訓練を通して、課題を見つけることができた。今回のことを教訓として、もしもの災害に備えていきたい」と述べた。
訓練に参加した前泊博美さんは「毎年、防災訓練は実施してきたが、スムーズだったため課題らしい課題は考えつかなかった」と語った。
その上で施設の鍵は24時間365日、分かりやすく安全な場所での保管を提案した。
前泊さんは「先人たちがなぜここに集落を形成したのか、歴史的背景も踏まえ、池間島独自の視点での地域防災マニュアルを作成することが必要ではないか」と話した。