株出し栽培 最大に/16-17年期サトウキビ
夏植えを逆転、課題は反収/作型の偏りも懸念材料
宮古島市におけるサトウキビ栽培で、2016-17年期の株出し収穫面積が全作型の中で最大になる見通しだ。JA宮古地区営農振興センターさとうきび対策室のまとめで分かった。株出しの収穫面積は2412㌶。これまで主流だった夏植えを30㌶上回った。1年1作の株出し栽培は、収穫面積の拡大と農地の有効利用が期待される。一方で反収の確保や作型の偏りに対する懸念もある。
株出し栽培は、ここ数年で急上昇した。10年前の07-08年期は106㌶と全体面積の4061㌶に占める割合はわずか2・6%。当時は夏植えが3686㌶と圧倒的な作型だった。
目に見える変化が表れ始めたのが10-11年期。この年に300㌶台まで押し上げられると以降の面積は右肩上がりで推移した。13-14年期は1629㌶、15-16年期は2037㌶、今期16-17年期でついに夏植えの比率を上回った。
株出しの増加は、土壌病害虫による被害が軽減されたことが大きな要因に挙げられる。ハリガネムシの発生を抑えるプリンスベイト剤の普及で10-11年産から徐々に面積を増やした。
高齢化に伴う労働力の低下で、夏場の植え付けを回避できる株出し栽培へ移行する農家も続出。株出し管理機で一定程度の反収が確保できることも重なって飛躍的な伸びを見せた。
気象災害がなかった16-17年期昨は高反収が予想されており、次期作においても株を立てる農家が一層増えるものとみられる。
株出しは1年1作。夏植えの2年1作時より収穫面積が拡大する。毎年収入が得られる上に、土地の有効利用も進むことから輪作も可能になる。こういった利点があるため、関係団体も株出しを勧めてきた。
だが、作型の偏りには警鐘を鳴らす。沖縄製糖の砂川玄悠専務は「株出しは夏植えに比べて台風などの気象条件に弱い。今年は台風の上陸もなく、株出しの反収も良くなるとみられるが注意は必要だ」と話した。
さらに、病害虫のまん延を懸念する。特に黒穂病は株出し圃場で多く見られるため、面積が拡大すればするほどリスクが増す。
このような観点から沖糖の砂川専務は「リスクを回避する上で、夏植えも半分程度は必要になる」とする考えを示した。また、「株出し栽培が増えれば収穫面積は増える。しかし、反収を上げなければ本当の増産にはならない」と話し、肥培管理の重要性を説いた。
作型が大きく変わろうとしている宮古地区のサトウキビ栽培。生産振興に向けて中長期的な視点に立った対応が求められそうだ。