野そ被害 ヘリ防除の再開を/きび生産組合
高齢化で「地上防除できず」/市長、予算化を検討
サトウキビを食害する野その対策で、市内5地区のさとうきび生産組合は9日午後、下地敏彦市長に空中から薬剤を散布するヘリ防除の再開を求めた。生産農家の高齢化が進み「地上防除が思うようにできない農家が増える状況にある」と主張した。下地市長は要請に理解を示し、17年度の予算編成でヘリ防除の検討に入る意向を示した。
ヘリ防除は、14年度を最後に実施されていない。15年度から生産農家自身が薬剤を散布する地上散布方式に変わっている。市は①安全の確保②予算の縮減③散布にばらつきがなくなる-を利点に挙げている。
なお、市によると、ヘリ防除にかかる費用は約3300万円。これに対し、薬剤費のみとなる地上防除は1200万円で済む。
ただ、一部の農家は地上防除の効果を疑問視。ヘリに比べて薬剤を散布する範囲が狭まることなどを挙げて被害の拡大を懸念している。市議会でも度々取り上げられ、ヘリ再開を求める声は強くなっている。
要請の席で生産組合の代表らは、生産農家の高齢化に伴って人海戦術による地上防除には限界があると主張。「このような状況が進行すると、被害のまん延が懸念される」として、ヘリ防除の再開を求めた。
下地市長は「地上防除に労力がかかるというのは理解している。実態としてかなり厳しいことも承知している」などと述べた。その上で「生産農家の負担にならないようにしないと意味がない。予算編成作業の中で皆さんの意見を十分に尊重したい。どんな形で予算に組み込めるかを考えさせてほしい」と述べ、再開に前向きな姿勢を示した。
野そ被害調査は今年2回実施されている。地区病害虫対策協議会が宮古全島で行い、直近の調査の被害率は0・3%だった。池間島は5・92%と比較的高い数字だが、そのほかの地域は1%に満たなかった。