ヘリ野そ防除再開へ/宮古島市
地上防除から移行/キビ生産者の要請に応える
宮古島市は来年度から、野そ(野ネズミ)の防除をこれまでの地上防除からヘリコプターによる航空防除で実施する。野そによるサトウキビの被害は、宮古地区全体で0・3%と少ないものの、生産農家の高齢化が進み「地上防除が思うようにできない農家が増える状況にある」として、市内5地区のさとうきび生産組合が市にヘリでの防除再開を要請していた。
13日に開かれた市議会(棚原芳樹議長)12月定例会一般質問で、下地敏彦市長は「地上防除に移行してから2年目となる今年は、(野その)目撃情報が多数寄せられている」と述べ、ヘリで実施することを明らかにした。下地明氏への答弁。
ヘリ防除は、予算軽減などを理由に2014年度で終了。15年度から、生産農家が自身の畑に薬剤を散布する地上散布方式に変更された。
地上散布の利点について市は▽安全の確保▽予算の縮減▽散布にばらつきがなくなる-を挙げ、理解を求めていた。
しかし、地上からの散布は、人の入れない原野や山林などが除かれることから、一部のキビ農家や糖業関係者から「野ネズミの被害が広がる可能性がある」「作業量も増え、体力的にも限界がある」として、従来通りヘリからの散布を希望する声が上がっていた。
こういった声を受け、さとうきび生産組合の平良(池間信夫組合長)、城辺(照屋秀雄組合長)、下地(川満省三組合長)、上野(川満長英組合長)、伊良部(渡久山毅組合長)の5地区の組合長は今月9日に、連名で下地市長に要請文を提出。ヘリによる野そ防除作業の早急な再開を要請。下地市長は「どんな形で予算に組み込めるかを考えさせてほしい」と前向きに答えていた。
要請者の一人、城辺地区きび生産組合の照屋組合長は「われわれの要請に応えてくれてありがたい」と感謝した上で「生産農家は野そ防除の農薬を配布されても、散布しない人もいる。また、自分の畑に散布しても隣の畑の所有者が散布しなければ意味がない」と指摘。「被害は減っているかも知れないが、野ネズミはあっという間に増える。へりでの一斉防除が効果的」と話した。