収穫キビに農薬ダメ/病害虫対策協
残留検知で出荷停止/アブラムシがまん延
サトウキビの葉裏に白く綿状に付着するカンシャワタアブラムシが宮古本島でまん延している。葉が黒変しない限り大きな影響はないが、JAさとうきび対策室によると、農薬を散布しようとする農家がいるという。仮に収穫期のキビに散布すると農薬が残留したまま工場に運ばれ、最悪の場合は原料糖出荷停止の事態を招く。病害虫対策協議会は17日の会議で、「収穫期のサトウキビに影響を与える農薬の使用は不可」とする見解をまとめた。
方言でパイガサやバヤーなどと言われるカンシャワタアブラムシの発生時期は3~5月と10~11月。時期外れのまん延は昨年末から今年にかけての気温の高さが要因とみられる。さとうきび対策室などは、春の発生時期が前にずれたのではないかと推測している。
成虫や幼虫は、葉裏に群がって吸汁する。このため光合成に一定程度の影響が出るとされるが、収穫系のサトウキビに大きなダメージはない。
ただ、各地でまん延しているため、「農薬をまいた方が良いのか」という問い合わせがさとうきび対策室に入っているという。
17日の病害虫対策協議会では、農薬散布に関する注意事項と農家への周知方法について話し合った。
収穫の45日前までとされているスミバッサやスミチオンの使用については①収穫するサトウキビには絶対にかけない②新植夏植え圃場であっても、収穫期のサトウキビ圃場が隣接している場合は(飛散することがあるため)かけない-ことを申し合わせた。
すでに製糖工場では原料員らを通して同様の告知を行っている。工場は「もし残留農薬が出てしまうと砂糖を出荷できなくなる」としており、仮にこうなると農家のサトウキビを買い取れなくなる。「とてもナーバスになっている」と警戒を強めている。
病害虫対策協議会の宮國範夫会長は「今年は大豊作が期待されるが、一人のミスが全体の損失につながる可能性があるので注意してほしい」と話した。
カンシャワタアブラムシによる葉の黒変や変調が見られる場合は、各地の原料員やさとうきび対策室(72・1341)まで。