経済の活性化に期待/当選した下地氏
「陸自」積極的な情報公開を
宮古島市長選で3選を果たした下地敏彦氏は、選挙期間中、「経済の好循環を止めてはいけない」と訴え続けてきた。他の候補者が市政の刷新を最大の争点としたことに対し、下地氏は経済の活性化を前面に出して、豊かな宮古島をつくると訴え。子育てや医療、福祉などの充実に加え、これらを支える公共工事を導入し、経済の活性化を図るとした政策が市民の共感を得たと見られる。
経済の活性化は、住んでいる人たちが豊かさを感じることに結び付けなければならない。同時に心の豊かさを感じられるような公約の推進に期待がかかる。
一方で、解決されていない不祥事を抱えているのも実情だ。
不法投棄ごみ残存問題については、市民団体が市に損害を与えた市長の責任として「無効な契約を結んだこと」を指摘、裁判所に訴訟を起こした。
また、観光プロモーション事業では、不透明な行政手続きをめぐり、市議会で調査特別委員会(百条委)が設置され、現在審議中だ。
現市政の一連の不祥事については、3候補とも問題点を厳しく指摘しており、その対応が注目される。
今選挙の争点の一つ、陸上自衛隊の配備計画については、下地氏は昨年6月に受け入れを表明。選挙期間中も、尖閣諸島周辺での中国の艦船や公船の動きを「明らかに領海侵犯。『話し合いで解決せよ』だけで事が足りるほど国際情勢は甘くない」と指摘。防衛の観点から陸自配備の必要性を主張し、配備容認派から支持を集めた。
陸自配備計画を容認する下地氏が当選したことで、政府は引き続き配備計画を進める方針だ。
中国の海洋進出を念頭に、政府は南西諸島の防衛体制強化を目指している。計画では、宮古島には700~800人程度の陸自警備・ミサイル部隊を置く計画だ。
ただ、陸自配備をめぐっては、市民団体などから反対の声や、積極的な情報公開を求める意見が根強くある。
情報公開の必要性が声高に叫ばれた選挙も珍しく、下地氏はこれらの市民の声にも適切な対応が求められる。