働きかけ改めて否定/安慶田前副知事
前教育長を刑事告訴
【那覇支社】県教員採用試験に口利きをした疑いが持たれている安慶田光男前副知事は26日、県庁で記者会見を開き、「教員や学校事務職員採用に関して、前教育長に働きかけをした事実は一切ない」と改めて否定し、「採用試験のプロセスは匿名で不当な操作ができないようになっている。私にはこのような不正を依頼する動機も必要も全くない」と述べた。
その上で、安慶田氏は働きかけを受けたと文書で証言した諸見里明前教育長を「文書記載や説明は真実ではなく、私はこのような作り話によって名誉を侵害され耐え難い苦痛を与えられた」として、25日に名誉毀損の疑いで刑事告訴し、損害賠償を求めて26日に那覇地裁に提訴したことを明らかにした。
一方、県教育庁幹部の人事異動に介入したとされる疑惑には「議員や教員OBなどから人事について推薦や要望、意見が持ち込まれたことがあり、前教育長に口頭で伝えた記憶はわずかながらある」とし、「人事に関する意見や要望を、副知事の立場で責任者に伝えることは、端から見れば副知事による人事介入と受け取られてしまうことが分かり、軽率なことをしたと深く反省している」と述べ、文書にあるような指示や恫喝をした事実をはないと説明した。
今後、県や県議会の調査に応じるかについては、同席した代理人弁護士が「仮にそうした要請があれば、その時に改めて考えることになる」と述べ、明言しなかった。
安慶田前副知事については、2015年に実施された教員採用試験で特定の受験者を合格させるよう関係者に依頼した疑いや、教育庁の幹部人事に介入したとの報道がなされていた。同副知事は報道を一貫して否定していたが、混乱の責任を取る形で23日に辞職した。
諸見里前教育長が提出した書面によると、15年8月ごろ安慶田前副知事から教員試験を受験している3人の受験番号・教科・氏名が記入されたメモ用紙を渡され「よろしくお願い」「無理しなくていい」と言われたという。結果的に試験結果に影響なかったことも記載されている。
また、同年1月中旬ごろ教育庁幹部の異動先を指導統括監にするように指示を受け、断ると激しく恫喝されたことなどの記述もあり、報道を裏付ける内容となっていた。