金井喜久子 偉大さ再確認/生誕110年で記念演奏会
宮古出身作曲家の功績に光
宮古島出身の作曲家、金井喜久子の足跡をたどり、功績に光を当てる、金井喜久子生誕110年記念演奏会(主催・宮古島市、市教育委員会、市文化協会)が5日、マティダ市民劇場で開かれた。宮古出身者や宮古に縁がある演奏家、声楽家、舞踊家らが出演。金井の原点といわれる宮古島の風景や人情などをベースにした作品を披露し、その偉大さを観客とともに再確認した。
演奏会は、第11回市民総合文化祭・一般の部「芸術劇場」で、2部構成で行われた。
第1部は、宮古高校吹奏楽部による「吹奏楽の為の祝典序曲『飛翔(はばたき)』」で幕開け。放課後児童クラブぐすくべの子供たちが、なじみのあるわらべ歌「じんじん」「花の風車」などを身振り手振りを入れながら合唱し楽しませた。
ひめゆりの乙女たちの冥福を祈ってつくられたという「ひめゆりの塔」は、宮古フロイデ合唱団が浪々と歌い上げた。
トロンボーン奏者の池城勉さんは「トロンボーンによる『3つの奇想組曲』」を棚原俊平さんの伴奏を交えて演奏した。
第2部は、舞踊家・多嘉良和枝さんが「空手の舞曲」に合わせて、空手の形を取り入れた創作舞踊を力強く演じると、テノール歌手の田里直樹さんは「なますのぐう」の標準語バージョン「酒のさかな」で会場から手拍子を誘った。
ソプラノ歌手の黒島舞季子さんは、国際コンクールで上位入賞した豊かな声量を存分に披露。たさとしのぶさんの伴奏にのせて「浜千鳥」「波上宮(なんみー)の丘にのぼろう」「花の便りを」の3曲を情感たっぷりに歌い上げた。
演奏会は、戦禍に荒れた沖縄を県民の力で復興させようという金井のメッセージが込められた「沖縄行進曲」の全体合唱でフィナーレを飾った。
金井喜久子 1906年平良生まれ。県立第一高等女学校を卒業後、日本音楽学校、東京音楽学校(現・東京芸術大学)に進学。卒業後、映画音楽やオペラ、交響曲など幅広く作品を発表。沖縄音楽をこよなく愛し「母と子の沖縄のうた」の中の「じんじん」でレコード大賞童謡賞を受賞。日本人女性で初めて交響曲を作曲したことでも知られる。