競り中止、市場閑散/口蹄疫問題
農家の不安広がる/6月競りも開催未定
宮崎県で拡大する口蹄(こうてい)疫問題で、宮古地区の肉用牛生産農家の不安が広がっている。19日の5月競りは中止となり、生産者は「一大事だ」と危機感を募らせる。競り市場を運営するJAは6月競り開催の方向で検討を進めるが、口蹄疫問題は予断を許さない状況。防疫を強化する県側と調整しながら、遅くても今月中には開催の有無を決定する。
19日の宮古家畜市場は閑散。建物の周囲は消石灰で真っ白に染まり、終息のめどが立たない口蹄疫問題の深刻さをうかがわせた。
競りを運営するJAに、今月競りの開催を見送るよう要請した県の畜産課は「口蹄疫問題は刻一刻と変化している。そういう状況があるだけに(6月競りの対応については)まだ決められない」などとしている。県内生産者の声として、肉用牛農家からは開催を求める声が強く、養豚や酪農農家からは「競り開催はリスクがある」と再度中止を求める声があるという。
口蹄疫問題が深刻化している現状について宮古和牛改良組合の平良一夫組合長は「生産者の立場から言えることはない」と前置きした上で「口蹄疫の終息や競り開催に向けてはしかるべき人の発言が必要だ。和牛改良組合としては侵入防止を徹底したい」と話した。
今月競りに1頭を上場する予定だった城辺の照屋秀雄さんは「大きな不安だ」と競りの中止を深刻に受け止めている。「みんな神経質になっている。もし6月競りも中止になれば経営がどうなるのか見当もつかない。キビが豊作で喜んでいた矢先に口蹄疫問題は大きな痛手だ」と話した。