「焼玉エンジン」復活/沖縄舶用工業会
60年ぶりに修理/宮古出身の渡眞利会長ら
【那覇支社】約60年間使われていなかった船舶用の「焼玉エンジン」が21日、沖縄舶用工業会の渡眞利敏会長(平良松原出身)らの手によって復活した。沖縄水産高校に保管されてきたエンジンを4カ月かけて修理し、再び起動させることに成功した。
焼玉エンジンとは、「焼玉」と呼ばれる金属製の部位を加熱し、その熱で燃料を発火させて動力に転換する構造。戦後は「ポンポン船」などにも使われたが、その後は馬力の大きいディーゼルエンジンなどに取って代わられた。
今回復活したエンジンは、沖縄水産高校の実習船で使われたもの。その後は約60年間、保管されてきた。同校の仲間竜郎教諭も、「本当に動くとは思っていなかった」と話す。
渡眞利会長らは昨年11月、沖縄舶用工業会所属の6社でエンジン復活プロジェクトを立ち上げ、修復作業に取り組んできた。
21日は、焼玉を約10分間加熱した後に燃料に点火。エンジンは、「タンタンタン」と音を立てて勢い良く動き始めた。再び稼働したエンジンに、関係者や沖縄水産高校の学生ら約40人は大きな拍手をした。
起動成功に、プロジェクトのメンバーは満面の笑みを見せた。渡眞利会長も「昔のエンジンは、手間暇かけて動かしていた。そういった古いエンジンから理論面を学ぶことで、現代の技術の理解も深まる。学生さんに教材として利用してほしい。また、企業の技術者も多くの知識が得られる」と話していた。
また、仲間教諭も「今のエンジンは電子制御なので中身が分かりにくい。焼玉エンジンは内燃機関の基本的なもの。(学生の)勉強のためにも非常に良い」と語り、教材として復活した焼玉エンジンの「第二の人生」に期待を寄せていた。