過剰かん水、指導徹底へ/宮古土地改良区総代会
事業計画や予算など議決/国営の用水路改修9月着工
宮古土地改良区(理事長・下地敏彦市長)は7日、平良西里のJAホールで第28回通常総代会を開いた。水の大切さを再認識し、過剰なかん水には指導を徹底することなどを盛り込んだ2017年度事業計画と、収入・支出総額2億6400万円の一般会計予算案などを原案通り議決・承認した。用水路を改修する国営宮古土地改良事業(国営施設応急対策)も議決さたれことから、9月から工事に着手する。総事業費は13億円。受益面積985㌶。
事業計画では、地下ダム建設で水利用農業が進展した反面、過剰なかん水も増えており、水源の維持管理が懸念されていると指摘。水量の上限を気にすることなく、必要以上にかん水するのは賦課金の定額制だとし、今後▽水使用量の把握▽使用水量の指導徹底-のほか、地下ダムから揚水するための電気料金の軽減に向け、メーター制への移行も視野に取り組む方針を示した。
17年度に実施する事業は▽国営造成施設管理体制整備事業▽土地改良施設維持管理適正化事業▽基幹水利施設操作業務▽多面的機能支払い交付金資源向上支払い(施設の長寿命化)に係る業務委託▽スプリンクラー機器取り替え業務▽宮古伊良部農業水利事業地下水観測業務-で、いずれも継続事業。
国営宮古土地改良事業では、国営事業で造成された管水路の硬質塩化ビニール管(区間6・4㌔)を17年度から4年間で、鋳鉄管に替えて敷設する。
宮古地区の基幹的な農業水利施設は、国営宮古土地改良事業(1987年度~2000年度)などにより造成されたが、用水路においてはパイプラインの破損による漏水事故などが多発し、農業用水の安定供給に支障を来している。
また、道路の陥没や冠水による交通遮断など地域社会にも影響を及ぼしており、維持管理にも多大な費用と労力を要している。
このことから、同事業では用水路の改修を行い、農業用水の安定供給及び施設の維持管理費と労力の軽減を図る。事業費は国、県、市が負担し、農家負担はゼロ。
同事業は17年度の工事着工のため、3月上旬までに総代会での議決を受けなければならない。このため、今年度の総代会は例年より早めに開催した。
議決を受け、今後は農林水産大臣へ事業施行を申請し、諸手続を経た上で9月上旬にも工事に着手する予定だ。
そのほか原案通り承認及び議決されたのは▽15年度事業経過報告▽同年度一般会計・特別会計収入支出決算及び財産目録▽16年度一般会計・特別会計収入支出補正予算▽宮古土地改良区定款の一部改正案▽17年度賦課金の賦課並びに徴収方法案-など。
冒頭あいさつした下地理事長は、基幹作物のサトウキビは40万㌧台の大豊作が期待されていることやゴーヤー、トウガン、カボチャも好調に推移していることを挙げ「水利用農業で、農家所得は確実に向上している」と述べた。
その反面、バルブの操作により容易にかん水できることから、農作物への過剰なかん水が増え安定した農業用水の供給に支障を来していることに懸念を示した。
下地理事長は「今一度、地下水の大切さやありがたさなどを再認識する必要がある」と強調。「農家の意識改革を含め、適正な水利用の徹底した指導をこれまで以上に実施する」と決意を語った。