初動対応に万全期す/家畜伝染病対策
万が一備え実働演習
口蹄疫など特定家畜伝染病の防疫体制の強化を図る実働演習が9日、JA宮古家畜市場などであった。同市場を発生農場に見立てて消毒作業を実施し、初動対応における関係機関の連携を検証しながら万が一の家畜伝染病侵入に備えた。
実効性ある地域防疫体制の確立が狙い。県宮古農林水産振興センターが主催した。県ほか市村、和牛改良組合、JAなど関係団体の職員らが参加した。
実働演習に先立ち、県宮古合同庁舎で講習が行われた。ここでは防疫作業の流れや役割を確認したほか作業に当たる職員が防護服の着脱方法を学んだ。
冒頭、下地敏彦市長(代読)が「特定家畜伝染病が侵入した場合、全国の肉用牛生産地に打撃を与える恐れがあり、防疫対策は万全を期する必要がある」として実りある実働演習になるよう激励を込めた。
この後、城辺の比嘉ロードパークに移動して車両消毒訓練を実施。交通誘導などの実演もあった。
最後に、伝染病発生農場に見立てた家畜競り市場で消毒作業に当たった。防護服を着た職員が消石灰をまいたり、動力噴霧器を使用して天井や壁面、柱などを消毒したりした。
参加者は、一連の作業を通じて初動対応の強化に努めた。宮古家畜保健衛生所の仲村敏所長は「人やモノの移動が増えることで特定家畜伝染病侵入のリスクも高まる」とし、万が一の実働演習の意義を強調。「口蹄疫は早期発見と早期通報が大切だ」とも話し、牛の状態を常日ごろから確認することの重要性を説いた。
口蹄疫は、特定家畜伝染病の中でも国際的に最も警戒すべき疾病だ。感染すると多量のよだれや乳頭の水疱(すいほう)などの症状が出る。国内では2010年に宮崎県で発生。29万頭もの家畜が殺処分された。