「全ての大人が親身に」/子どもの貧困対策講演会
社会全体での取組促す
「沖縄の子どもの貧困 今、私たちがすべきこと」と題した講演会が18日、市中央公民館で開かれた。県子どもの貧困対策支援コーディネーターの山内優子さんが、子どもの居場所づくりや学習支援、食事の提供など、自分にできることから始めようと訴え。沖縄独自の課題解決を図るとともに、「地域の全ての大人が親身になって面倒を見ることが大切」と社会全体での取り組みを促した。
県の子どもの貧困率は、全国の2倍に当たる29・9%(3人に1人)で深刻な状況となっている。
このため、行政だけでなく地域や関係機関などが連携し、未来を担う子どもたちの成長を支えていくという意識の高まりが求められている。
山内さんは一人親世帯の貧困率は58・9%と半分以上を占めていることや▽年間所得200万円以下世帯▽非正規就業率▽生活保護率-なども全国と比べて厳しい状況になっていることを指摘。高校進学率は全国平均より低く、高校不登校率・中途退学率は全国平均を上回っていることなどを数字で示して、沖縄社会の貧困が子どもたちに影響を与えていることを説明した。
沖縄の子どもの貧困の特徴として、不良行為で補導された少年が全国の6倍であることや、中学を卒業した後の進路が決定せず、無職のまま社会に出ていくことなどを挙げ「子どものころから、しっかりと指導することが大切」と強調。貧困が世代を超えて連鎖しないようにすることが重要だとした。
「貧困に陥ったのは自己の責任」「貧困になったのは当人の努力不足」など、貧困問題を自己責任論にする声もあるが、山内さんは「児童福祉法」(1947年8月制定)にうたわれている「すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、かつ育成されるよう努めなければならない」との第1条の条文を紹介。「全ての大人が親身になって面倒を見て、世話をして、育てることが必要。子どもに代わって大人が声を上げるべきだ」と話し、貧困解消に向けての社会全体の取り組みに協力を呼び掛けた。
講演会の冒頭、あいさつした佐平博昭市政策参与は「山内さんの話を聞いて意識を高め、自分のできることを考えてほしい」と講演会開催の意義を語った。