県の土地改良事業 工事せず事業完了か/伊良部・長山北地区
県が詳細調査へ/県営畑地帯総合整備
県が2001年度~08年度にかけて実施した伊良部地区の土地改良事業で一部対象地区の工事が実施されていないことがわかった。県農林水産部宮古農林水産振興センター農林水産整備課は、本紙の取材に「土地改良工事で『畑地』になっているはずの一部の土地で実際に工事は実施されていないことがわかった。なぜそうなっているのか当時の担当者や実施業者に確認していきたい」と話した。一方で、同地区を担当した業者は「この土地は事業の対象地域ではない」と主張している。
同事業は、伊良部の長山北地区県営畑地帯総合整備事業で、整備面積は19・4㌶。そのうち、工事箇所となっていた1588平方㍍が実施されていない。
この土地の所有者は市議の仲間賴信氏で、本人の同意のないままで土地改良工事が行われていると主張し、今月17日に同課計画調整班の職員と、市農業委員会の職員で現場を訪れた際に、現場が未工事であることが発覚した。
県の担当者によるとこの土地は、同事業終了後に「原野」から「畑地」となっているという。
仲間氏は、以前にこの土地でソーラーパネルを設置することを計画していたが、原野のはずが、一部が「畑地」となっているとの指摘を受けて、この土地で同計画は実施できなかったと主張する。
これまでに仲間氏は、県や市農業委員会に対して、この土地を「原野」に戻すよう求めていたが応じてもらえなかったとしている。
こうした指摘を受けて17日に現場を確認した県の担当者は「手元にある書類上でこの土地は事業を経て『畑地』になっている。事業終了後、時間が経っているので原野化しているのかと思ったが、土地改良工事が行われた形跡がない」と説明した。
この土地の工事を担当した業者の現場責任者は、本紙の取材に対して「この土地の工事は03年8月から約10カ月間に実施したと思うが、指摘されている箇所で土地改良工事はやっていないし、手元にある資料でもこの場所は工事箇所になっていない」と述べた。
さらに「こうした県の事業が未工事のまま終了することはないし、発注者(県)が納得しないまま終わることもない。すべて問題なく終了している」と話した。
こうした事態を受けて、県の担当者は「過去にこのようなことは聞いたことがない。まずは調査をしたい」と述べた。